2023 Fiscal Year Research-status Report
ウェーブリップルが地層に残される定量的条件の解明:浅海堆積物から分・秒を読み取る
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21K03677
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
山口 直文 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 講師 (80634120)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ウェーブリップル / 水路実験 / 堆積速度 / 堆積構造 / 浅海堆積物 |
Outline of Annual Research Achievements |
古水理条件や堆積環境の復元を目的として,ウェーブリップルの形状などの特徴についてはこれまで数多くの研究がなされてきたが,それらが地層に保存される条件についての具体的な検討はなされていない.本研究では,ウェーブリップルが地層に保存されるために満たすべき必要条件を,砂または泥を供給して地層を形成する水路実験によって定量的に求めることを目指す. 令和5年度は前年度に引き続き,水路実験の実施と成果の公表準備,実験解析用の手法の整備とその手法を応用した研究の公表を行った. 水路実験では,前年度までの波浪条件および堆積速度条件を更に拡張した.特に,ウェーブリップル形状の保存条件を一般化するのに必要となる,より広い波浪周期の条件について実験を行いその影響を調べた.また,地層に保存されるウェーブリップルが水底で発生しうる条件について,これまでの実験で明らかになった成果をまとめ学術誌に投稿した. ウェーブリップル葉理形成実験での混合粒径堆積物の分離解析に必要な手法については,分離する成分数の推定するための評価基準を人工粒度データを用いて検証した.その検証結果は学会で報告し,学術論文(Yamaguchi, 2023, Progress in Earth and Planetary Science)として公表した.また,分離手法の妥当性を検証するため現世湖底堆積物に試用し,その成果を学会発表と学術論文(Yamaguchi et al., 2024, Sedimentoloty)として公表した.これらの手法整備により,混合粒径堆積物の解析をより定量的・客観的に行うことができるようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
堆積物の解析手法の整備については当初の予定以上の成果を得ることができた.一方で,水路実験については前年度までの遅れを取り戻すまで進めることはできず,より一般的な条件を求めるのに必要となる実験試行を完了できなかったため「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長し,水路実験とその結果の取りまとめを令和6年度中に完了させる予定である.実験条件や機材の準備は整っており,実験時間を確保し試行を進めることで達成可能であると考えている.
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Causes of Carryover |
次年度に使用額が生じた主な理由は,実験補助での雇用に向けたアルバイト代を使用せずに実験を行ったことによる.雇用可能な人材の確保ができなかったことが主な理由であるが,今後効率的な実験の実施に向けて必要に応じて使用したいと考えている.
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Research Products
(5 results)