2022 Fiscal Year Annual Research Report
長半減期アクチノイド系列元素の環境中における挙動についての研究
Project/Area Number |
21K03678
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
向井 広樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (80817289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 庸平 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00359168)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 粘土鉱物 / ユーロピウム / 誘導結合プラズマ質量分析法 / 集束イオンビーム/透過型電子顕微鏡法 / 電子線マイクロアナライザー / 高レベル放射性廃棄物地層処分 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、AmのアナログとしてEuを用いて黒雲母、ハイドロバイオタイト、カオリナイト、モンモリロナイトといった各種の粘土鉱物について、吸着・脱離実験を行うとともにEPMAやSTEM-EDS、IPオートラジオグラフィを用いて観察・分析を直接的に行った。吸着実験では、pHの上昇とともにEu吸着率が増加する傾向が各粘土において見られた。また低pH(3~5程度)においてはハイドロバイオタイトが特に他の粘土鉱物よりも高い吸着率を示していた。一方脱離実験では、カオリナイトからはEuが比較的よく脱離したが、黒雲母およびハイドロバイオタイトにおいて強くEuが固定されていることが示唆された。さらにEPMAによってEuを吸着させた黒雲母およびハイドロバイオタイトの試料について、元素マッピングを測定した。その結果、黒雲母およびハイドロバイオタイトでは粒子の端の方にEuがよく濃集しており、ハイドロバイオタイトではさらに粒子の層間にもEuが侵入していることが明らかになった。またSTEM-EDSの分析による結果、カオリナイトでは粒子内部にEuが入ることはなく表面付近に濃集しており、モンモリロナイトに関しては、Euはほとんど均質に層間に入っていることが示唆された。以上の結果から、環境中において、黒雲母やハイドロバイオタイトに収着されたAm-241, 243といったアクチノイド系列放射性核種は安定に固定されることが考えられる。 またこれまでに得られた成果によって、日本地球惑星科学連合2022年大会や日本放射化学会第66回討論会(2022)といった学会において研究発表を行っている。
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