2021 Fiscal Year Research-status Report
巨大電流・エネルギーを持つ冬季落雷のメカニズムの解明と予知
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21K03681
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
ウ ティン 岐阜大学, 工学部, 助教 (50789774)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 冬季雷 / 巨大落雷 / 強帰還雷撃 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に既存の冬季雷観測データの解析と広域FALMA観測ネットワークの構築を行った。 既存データの解析について、まず、ピーク電流値が150kA以上の非常に強い負極性雷撃について解析を行った。冬季の強い負極性雷撃の特徴は殆ど知られていない。そして、本研究はこれらの強い負極性雷撃の電界変化波形は普通の雷撃の波形と違うことを初めて判明した。波形が特殊であることもこれらの強い雷撃の存在が認識されていないことの原因である。また、強い負極性雷撃の一例は光学観測装置による観測も成功し、帰還雷撃及びその直前の下向き負リーダの速度を測定できた。この研究成果は既に論文にまとめて国際学術誌に発表した。 冬季の強い正極性雷撃の解析も進んでいる。強い負極性雷撃と違って、強い正極性雷撃の電界変化波形に異常性はないことを判明した。しかし、強い正極性雷撃の発生頻度は高く、ピーク電流値は全体的に強い負極性雷撃より大きいことが分かった。また、強い正極性雷撃は海に多く発生する傾向、負極性のほうが陸に多く発生する傾向を明らかにした。 広域FALMA観測ネットワークの構築は順調に進んでいる。過去の冬季雷観測は基本的にすべての観測サイトを北陸地方に集中して行ったが、強い雷撃によってすべての観測サイトが飽和され、ピーク電流値が精確に推定できない問題がよくあった。この問題を解決するために、北陸地方の観測サイトと100キロ以上離れた中部地方に観測サイトを三箇所新規設置し、広域のFALMA観測ネットワークを構築した。このシステムを用いて、2021年の11月から冬季雷観測を行い、高品質なデータを多く取れた。これらのデータをもとに、今後多くの成果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
冬季の強い負極性雷撃について既に解析結果をまとめて論文を発表した。この研究は初めて強い負極性雷撃の基本特性を解明した。冬季の強い正極性雷撃についてもいくつかの新しい発見ができた。今後は論文にまとめる予定である。また、広域FALMA観測ネットワークの冬季雷観測も成功し、今後はより高品質なデータを利用して巨大落雷の解析を行い、様々な成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主に広域FALMA観測ネットワークが取れた冬季雷のデータの解析及び成果の発表を進める。また、観測サイトを更に数箇所増やし、北陸地方と中部地方を全体カバーできるシステムを構築する。これで広範囲の冬季雷と夏季雷を観測でき、冬季雷と夏季雷の比較解析もできるようになる。
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Research Products
(5 results)