2022 Fiscal Year Research-status Report
地震計記録と極値統計学に基づく確率論的地震動予測法の開発と性能検証
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21K03686
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
澤崎 郁 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波火山ネットワークセンター, 主任専門研究員 (30707170)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 極値統計解析 / 連続地震波形記録 / 最大振幅 / 超過確率 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度構築した極値統計解析のアルゴリズムにおいては、パラメータ推定値の分布関数として正規分布を仮定していた。しかしその仮定は厳密には成り立たないため、本年度は、パラメータの分布関数をマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法に基づき直接推定し、その各々の推定値から最大振幅の超過確率予測を行うアルゴリズムを開発した。また、任意の値以上の最大振幅が任意の回数以上発生する確率の計算もアルゴリズムに組み込んだ。このアルゴリズムを、200点余りのMeSO-net観測点において、10年以上の期間に記録された区間最大振幅に対し適用した。 その結果、30年以内に1000Gal以上の揺れを観測する確率は、99%以上の点から0.01%以下の点まで、観測点によりかなりばらついた。観測点ごとのサイト特性や地震活動の地域性を考慮しても、このばらつきは地震学的に不自然である。大きなばらつきの原因としては、2011年東北地方太平洋沖地震後の活発な地震活動や設置点周囲のノイズ環境の変化などにより、区間最大振幅がしたがう分布の定常性が保証できないことや、MCMC法のアルゴリズムの不備により、局所解周辺を探索している可能性があることなどが挙げられる。使用するデータセットの厳選と局所解に陥らないようなアルゴリズムの改良が今後必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極値統計解析のアルゴリズム構築においては、MCMC法の導入により、パラメータ推定値の分布を考慮した予測が可能となった。また、任意の値以上の揺れが発生する回数も計算できるようになった。これらの点から、アルゴリズム開発においては大きな進展があったと考える。一方で、実データへの適用において、データの蓄積期間が長くなるほど区間最大振幅がしたがう分布の定常性が損なわれやすく、このことが予測結果に大きく影響する可能性を無視できないことが明らかとなった。そのため、定常性を表す客観的な指標を導入し、予測そのものの信頼度を示す必要が生じたため、予測結果の解釈には至っていない。 以上のことから、全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、区間最大振幅データセットの定常性を客観的に見積もる手法を考案し、その程度に応じて、予測結果の信頼性をランク付けしたいと考えている。その上で、30年以内に任意の値以上の揺れが生じる確率を可視化し、その結果を確率論的地震動予測地図などの従来法による予測結果と比較し、その共通点や相違点などについて考察を進めたい。また、最大振幅に加えて計測震度の区間最大値のデータベースもすでに準備済みであるため、計測震度の超過確率を計算するアルゴリズムも構築したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる渡航制限により、特に外国旅費に要する支出が大きく削減されたため、次年度使用額が生じた。来年度は国際学会に現地参加する予定である。また、論文出版費や英文校閲料などへの支出も計画している。
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