2023 Fiscal Year Research-status Report
観測点1点だけからの地震波動伝播の情報抽出:地震動即時予測の高度化に向けて
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21K03689
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
小寺 祐貴 気象庁気象研究所, 地震津波研究部, 主任研究官 (80780741)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地震動即時予測 / 緊急地震速報 / 機械学習 / 地震動 / 波動伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度開発した波動伝播方向を推定する深層学習モデルを地震動即時予測へ活用する具体的方法を検討した。
震源推定をせずに観測された揺れから将来の揺れを直接予測する手法のひとつであるALPHA法(距離減衰を導入したPLUM法;Kodera, 2019)の改善を試みた。ALPHA法は、短距離の地点しか予測できないというPLUM法の技術的課題に対処するために開発された手法である。ALPHA法では各観測点において付近(~45km以内)の観測リアルタイム震度の分布から距離減衰を推定し、その距離減衰を用いて遠く(~300km以内)の地点の震度を予測する(距離減衰は、各観測点直下に置いた点震源の重ね合わせで表現)。現在ALPHA法が距離減衰を推定する際には、基準観測点から見て最も観測震度が小さい方向を伝播方向と見なしたうえで点震源モデルの距離減衰を当てはめて計算しているが、これを機械学習から推定した伝播方向に置き換える。伝播方向にある観測点のうち、観測震度が大きい観測点(但し基準観測点よりも観測震度が大きい観測点は除外)を用いて距離減衰の当てはめを行う。これにより、従来のALPHA法に比べてより早く正確な距離減衰が推定できると期待される。各観測点における伝播方向の推定は、昨年度開発した3成分の加速度波形を入力とした深層学習モデルを用いる。
KiK-netひたちなか(IBRH18)を基準観測点として2018年2月~2022年7月の地震に対して手法の検証を行ったところ、早い段階からより緩やかな距離減衰(深い点震源モデルで表される減衰)が推定できる事例がいくつか見られ、深層学習によって得られた伝播方向を導入することで予測の迅速化効果が得られることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度開発した波動伝播方向を推定する深層学習モデルをどのように地震動即時予測へ活用するか具体的方法を提案でき、また同モデルの導入効果を地震動即時予測の面から検証することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
深層学習モデルによる波動伝播方向の推定精度を高めるとともに、伝播方向の推定精度が悪い場合の地震動即時予測計算の改善を実施する予定である。また、伝播方向以外の物理量を推定する機械学習手法を開発し、地震動即時予測と組み合わせた際の導入効果を検証する。
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Causes of Carryover |
次年度以降における学会や論文での研究成果発表の費用に充てることとしたため。
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