2021 Fiscal Year Research-status Report
Variation of plant production in the lake during the historical period to estimate the human impact in the lake environment
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21K03692
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
里口 保文 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 総括学芸員 (20344343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槻木 玲美 松山大学, 法学部, 教授 (20423618)
関 宰 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)
林 竜馬 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (60636067)
加 三千宣 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (70448380)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 琵琶湖 / 南湖 / 堆積物 / 湖底ボーリング調査 / 粒度変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
琵琶湖南湖における細粒堆積物が安定的に供給される地点をさぐるために、約10地点においてボーリング調査を行なった。層相観察からは、どの地点でも表層近くほど粒径が大きく、高い含水率、植物片を多く含む傾向がみられた。深さ方向への粒径変化や含水率変化は、地点ごとの深度にばらつきがみられるものの変化傾向は同様であった。これらの結果を日本第四紀学会大会において発表を行なった。 層相変化、粒径変化、含水率変化の深度方向への変化傾向から、地点間対比が可能であり、そのことは南湖における年代による堆積速度変化の影響が示唆される。本研究のように1000年間程度の堆積物を扱う場合には、堆積年代を高精度に求める必要があり、100年程度の堆積物に有効な鉛210年代測定より古い時代を対象とした炭素年代測定の対象になる深度では、植物片などの含有がほぼない堆積物であった。別研究で行ったグレインソーターを使わない方法での花粉化石の濃集による炭素14年代測定では、近い層準で得られた植物化石による年代測定に比べて、誤差以上に古い年代値が得られた。このことは、花粉化石の濃集がソーターを使わない場合には、大きな年代誤差をうむことを示唆している。 湖底表層に近い層準における堆積物中の植物片の含有や、堆積物が有機質であることは、近年に顕著な水草繁茂が、過去にはほとんど見られなかったことを示唆している。このことは、予察的に行った表層付近のバイオマーカーの変化と整合的であり、深い深度の堆積物には植物片が見られないことが、分解によるものではないことを示唆している。 南湖の重点地点を決定してボーリングを行い、コアの層相記載、含水率測定を行い、分析用の試料分配を行なった。分析は、コア上部の鉛210年代測定も含めて、現在共同研究者が実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染症対策のため共同研究者が集まって調査をする機会を検討していたことで、重点地点での調査がやや遅れ気味で進行した。そのため、処理の期間が大幅にかかる花粉化石をグレインソーターにかけた濃集による炭素14年代測定委託が年度をまたぐことになると予想されたため、次年度に行うこととした。この点についての作業は遅れている。掘削地点のための複数地点でのボーリング調査や、バイオマーカー分析のための現生水生植物の採取、重点地点の掘削および試料分配までは行ったことから、全体の進行状況としては、概ね順調との認識をもっている。
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Strategy for Future Research Activity |
南湖の重点地点におけるグレインソーターを使った花粉化石による年代測定については、2年目のはじめに測定依頼を行う予定である。南湖の重点地点における試料分析は、各分析担当の共同研究者によって進められる。また、北湖における水草の影響が少ないと考えられる沖合の地点において、ボーリングコア採取を行い、南湖における調査と同様に試料分配・分析を行う。なお、北湖の堆積物についても、年代測定は、湖底表層に近いものは鉛210年代測定によって、深い深度のものは、花粉化石の抽出による炭素14年代測定によって行う予定であり、炭素14年代測定は業者に依頼する。南湖の分析結果がでた段階で、堆積年代と全てのデータ傾向から、それぞれの関係性について考察を行う。
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Causes of Carryover |
ボーリング調査による試料採取時期が遅れたため、グレインソーターを使った花粉化石の濃集による年代測定を委託によって実施するには、年度をまたぐ可能性があったことから、委託分析用の予算を次年度に繰り越して、次年度早々に実施することとした。また合わせてこれに伴う前処理のための謝金も同様に次年度繰越とした。繰り越した予算は、次年度早々に分析委託で使用予定である。
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Research Products
(2 results)