2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of sub-millisecond XRD measurement technique under combined dynamic environment using DAC
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21K03711
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
河口 沙織 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 研究員 (00773011)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダイヤモンドアンビルセル / オペランドXRD測定 / 動的環境 / カイネティクス / 隕石衝突 / 始原地球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、世界で初めてダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いた高圧下において、圧力のみでなく複数の外場環境をコントロールしながらのマイクロ~ミリ秒XRD計測技術開発を主軸に据えている。本研究で開発する新規システムを用いることで、始原地球形成時における隕石衝突イベントの温度-圧力-時間履歴を解明することをゴールとする。 本年度は本研究の基幹となる複合動的環境の統一制御下におけるサブミリ秒XRD計測技術の開発を重点的に行った。SPring-8の高圧構造物性ビームラインBL10XUに最近導入されたCdTe素子ハイブリッドピクセルアレイ検出器LAMBDA 750k(X-spectrum社)をX線回折測用検出器として用いることで最高2 kHzの不感時間なしの連続測定を可能としている。本年度は複合外場環境のうち、まずレーザー加熱による温度変化に着目した。レーザー加熱時の試料の輻射分光温度測定には、高感度EMCCDProEM(Princeton Instruments社)を用いることで50 Hzでの繰り返し測定が可能である。これら検出器に加え加熱用ファイバーレーザー(SPI社)のレーザーパワー印加を同期制御させるため、デジタル遅延パルス発生器DG645(Stanford Research Systems社)による精密時間制御されたTTL信号による外部トリガ制御を組み込んだ、LabVIEW, Pythonを基盤とした制御システムを構築することにより実現した。 このシステムの試験として、合成fayalite(Fe2SiO4)の瞬間融解実験を行いリキダス相がStishoviteであることをX線回折測定によりリアルタイムで観察することができた。これは先行研究で報告されているex-situ化学分析結果と一致している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の実施内容の大きな区分は(1) 加減圧制御を可能とするためのダブルメンブレンガス駆動式ダイヤモンドアンビルセルの開発、(2) 複合動的環境の統一制御下におけるサブミリ秒XRD計測技術の開発、(3) 100GPaまでの加減圧・温度変化中における試料の状態変化観察の3点となる。当初、初年度に(1)加減圧制御を可能とするためのダブルメンブレンガス駆動式(DAC)の開発、そして(2)XRD計測基盤開発の着手を計画していた。新規DACについてデザイン開発は行ったが、昨今の物資供給不足により次年度以降の購入となったこと、更に減圧用ガス圧印可コントローラについても電磁弁などの物資不足により納品が年度末となってしまい今年度内に試験に取り組むことが出来なかった。一方で、次年度以降完成予定であった複合外場環境下における高速XRD計測基盤システムの開発を1年で終了することに成功した。本システム開発は本研究の基幹となるものであり、研究実施の主軸をなすものである。試験測定により得られた結果の一部を日本高圧力学会主催の高圧討論会で口頭発表するとともに、日本結晶学会の学会誌に投稿・受理されている。成功し国際誌へ発表するために更なる解析を進めているところである。以上から考えて、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、上記のように本研究の基幹となる複合外場環境下における高速XRD計測基盤システムの開発に成功することが出来た。次年度は新規開発したシステムに圧力制御の機能を加える。そのために試料に対する加減圧の高速制御を可能とするダブルメンブレンガス駆動式ダイヤモンドアンビルセル(DAC)の導入、および加圧用・減圧用ガス圧印可コントローラについても統一制御を実現すべくソフト開発を行う。引き続き、開発した計測システムを用い、地球や小惑星の原材料であるコンドライト、鉄隕石に多く含有される鉄硫黄合金を試料として隕石衝突を模し、加減圧・温度変化を生じさせながら100 GPaまでの高圧下における反応過程観察を行い、相変化カイネティクス解明を目指す。得られた結果・開発内容については国際学会、国際誌に発表予定である。加えて、研究代表者が責任者を務めるSPring-8の高圧構造物性ビームラインBL10XUにおいて、ユーザーへの汎用利用を開始し、代表者の研究のみでなく、電気抵抗測定と組み合わせた相転移挙動の解明や、材料合成分野における合成過程解明に向けた研究へと展開する。
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Causes of Carryover |
新規ダイヤモンドアンビルセルについてデザイン開発は終了しているが、昨今の物資供給不足により次年度以降の購入となったため。
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