2021 Fiscal Year Research-status Report
地震波形インバージョンによる内核境界近傍の詳細構造推定
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21K03716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河合 研志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20432007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 裕輝 東京工業大学, 理学院, 研究員 (70897785) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 異方性構造 / 最下部マントル / 波形インバージョン法 / 稠密アレイ観測網 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震波異方性構造の推定を行うためには、観測地震波形の水平2成分を解析し、2つのパラメータ(S波速度に関連する二つの弾性定数)を同時に推定する手法を開発する必要があった。そこで、地震波解析手法「波形インバージョン法」を改良し、複数成分の地震波形を解析して複数のパラメータを同時に推定できるよう拡張した。その手法を用いて、稠密地震観測網USArrayで観測された膨大な地震波形記録の水平2成分を世界に先駆けて解析した(Suzuki et al., 2021, PEPI)。その結果、北部太平洋下のマントル最深部を対象領域として、世界最高解像度(既存の3次元構造推定モデルの約100倍(=5^3倍)の解像度)の3次元地震波異方性構造の推定に成功した。高圧実験および鉱物物理学の最新の知見と対照することにより、約2億年前に地表から沈み込んだ海洋プレートがマントル最深部に到達して折れ曲がり、押しのけた温かい物質からなる上昇流を誘発することが明らかになった。今回得られた地震波異方性構造は、地表のプレート運動が2900 km深度のマントル最深部の対流運動に影響を与えていることを示唆する。 また、外核(液体)中におけ る密度及び弾性定数κの摂動に対する1次元偏微分係数計算ソフトウェアをKawai(2006)に 基づいて実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分担者が科研費応募資格を喪失したため削除したことに伴い、分担者の役割分担分に関してやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
分担者削除に伴い、研究代表者が主催する研究室に所属する大学院生に研究協力者として参加してもらうことになった。削除する分担者の役割はソフトウェア開発およびデータ解析であるが、研究代表者の統括のもと研究協力者に担当していただく。現在分担者から研究協力者への引き継ぎが円滑に進んでおり、3年間の補助事業期間全体を通じた目的達成については支障がないと考えている。
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Causes of Carryover |
半導体不足のため計算サーバの納品が遅れたため、次年度使用額が生じた。2022年度の8月に納品される予定である。
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