2021 Fiscal Year Research-status Report
底部マグマオーシャンから始まる地球ダイナモの初期進化過程
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21K03725
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 太 九州大学, 理学研究院, 准教授 (20467012)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダイナモ / 初期地球磁場 / 底部マグマオーシャン / コア / コアーマントル結合 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
冥王代―太古代といった古い時代における初期地球磁場の生成過程候補の一つと考えられている、マントル最下部に形成されるマグマオーシャン(底部マグマオーシャン)内で生じるダイナモ作用について、3次元MHDダイナモの数値シミュレーションを用いて初期的な検討を行った。線型モデルを用いた解析により、底部マグマオーシャン層は外核に比べて薄く、電気伝導度が低いことから、核と底部マグマオーシャンの拡散時間の違いを見積もった。その結果から、初手としてコアと底部マグマオーシャン間の電磁気的結合を考慮しない分離型モデルを採用したダイナモシミュレーションを行うことにした。核を完全導体として扱うことで、核ーマントルを電磁気的に分離し、マグマオーシャンの厚さを核の半分とした。その結果、現在の地球磁場生成過程であるコアのダイナモ作用と同様な双極子型の磁場が生成・維持されることが確認された。 内部の磁場構造を調査した結果、特にトロイダル磁場について特徴的な構造を発見した。従来のモデルでは低緯度に強いパッチ状の磁場が赤道に関して反対称な形で分布することが知られていたが、本研究における結果ではそうしたパッチは存在せずに、タンジェントシリンダー内部の低緯度域に強いトロイダル磁場が見られた。この構造はコアが完全導体であるために、自転軸に沿った磁力線がコア内部へ侵入出来ずにコア表面付近に溜まり、それらが東西方向に引き伸ばされることで生成されていると考えられる。こうした効果はダイナモ領域が薄くなるほど顕著になってくると推測されるので、冥王代-太古代といった年代の地球磁場は、現在と大きく性質の異なるダイナモによって生成・維持されていた可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値シミュレーションによる結果を順調に得ることができており、従来とは異なる知見も得られつつある。解析およびデータ保存のための計算機環境も概ね整えることができたので、おおむね順調に研究計画が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
底部マグマオーシャンの厚さをより薄くして、高解像度ダイナモシミュレーションを行い、その影響の評価を行う。更に、コアとマグマオーシャンの結合によって新たにコア内で生じる磁場について検討を行う。
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Causes of Carryover |
学会等での研究成果発表のために計上していた旅費が、コロナ感染状況により使用できない状況になったため。次年度での旅費への追加または、その他(計算機使用経費)での使用を計画している。
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Research Products
(4 results)