2021 Fiscal Year Research-status Report
Paleoecologic evolution of oysters since Cretaceous time investigated through formative processes of fossil and recent oyster reefs
Project/Area Number |
21K03732
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
安藤 寿男 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 特命研究員 (50176020)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | カキ類 / カキ礁 / カキ化石 / 古生態 / 進化 / 白亜紀 / 現生 / タフォノミー |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、日本各地のジュラ紀以降、現生にいたるカキ化石密集層やカキ礁の産出記録の文献調査を行い、関係研究者への取材も行った。現地調査は、福島県東部のジュラ紀後期の相馬中村層群、白亜紀後期の双葉層群と、現生のマガキ礁が知られる東京湾奥の船橋市三番瀬と江戸川放水路河口の調査を実施した。 カキ化石層形成過程解明に重要な東京湾奥の現生マガキ礁の調査では、これまでに報告されたことのない重要な成果が得られた。過去50年間の空中写真や新規撮影のドローン画像と、干潟生態調査から、地形、底質、マガキ礁とマガキ殻層の分布と産状を把握し、マガキ礁の形成過程や堆積物中への保存過程の推論を試みた。 三番瀬の泥質細粒砂堆は、潮汐流路・潮汐砂州・タイドプールを伴う複雑な砂質潮汐低地をなす。そこに、数年前の青潮でいずれも死滅しているが、株状、散在状、パッチ状、バンク状のマガキ礁と、そこで洗堀され移動・集積したマガキ殻堆/床や、周辺の砂底から多量に移動集積した内生二枚貝(ホンビノス,アサリなど)殻床,貝殻質砂底などが複雑に分布する。バンク状礁は最厚でも40~50 ㎝で、2~3 世代のリレー固着生態産状を示すことから、30年以内の比較的短期間に成長したと考えられる。江戸川放水路では、護岸から流路側に広がる泥干潟の内側にパッチ状、株状礁が点在し、外側にバンク状、バー状のマガキ礁が流路沿いに断続的に配列する。さらに離弁死殻が集積した砂州状堆積構造をなすマガキ殻堆がマガキ礁に近接して幾つも分布し、強い潮流などで特定の場に死殻が移動・分別・集積されたことを示す。 現生の干潟では、マガキ礁の形状や分布は一様ではなく、運搬・集積された殻の分布や産状も複雑である。マガキは水深や地形、底質、水流環境に応じて成長しながら、異なる性状の礁を形成する一方、死殻は複雑な堆積作用によって多様な貝殻層が形成されることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス対策の影響で、県外や遠方への出張が困難で、予定していた野外調査や学外機関での標本研究ができなかったため、進捗が遅れていると言わざるを得ない。そのため、研究対象のカキ化石層や現生カキ礁を近県に絞って、タイミングを見計らって実施したが、回数が限られていた。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染状況をみながら、県外や遠方への野外調査や学外機関での標本調査を効率よく進めていくが、研究協力者や関係する研究者から研究素材・試料、化石産地情報をよく取材し、事前調査を念入りに行い多角的に進めていく。また、これまで取得済みの調査データや内容の蓄積を有効に利用し、新規データを取得して早い段階でその評価や検討を進めることで、効果的な研究過程を担保する。
|
Remarks |
茨城大学理学部安藤研究室のWebsiteに研究関連情報や論文一覧を随時更新
|
Research Products
(10 results)