2023 Fiscal Year Research-status Report
真核生物のゲノム解析から探るシリカ被殻形態制御の進化と顕生代の古海洋環境
Project/Area Number |
21K03734
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
高橋 修 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20242232)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 智子 東京学芸大学, 教育学部, 特任准教授(Ⅰ種) (80590629)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 放散虫 / 共生藻 / ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,琉球大学瀬底研究施設に3回(4月,12月,3月),新潟大学佐渡臨海実験所(7月),筑波大学下田臨海実験センター(2月)の5回のサンプリングを行った. 琉球大学では定点のサンプリングにより,放散虫種構成の季節変化とそれぞれの種の遺伝子解析および,共生体の単離などを行った.位相差顕微鏡による観察,および走査型電子顕微鏡観察,透過型電子顕微鏡観察, 分子系統解析を通して,今年度についても引き続き,各種の検討およびそれぞれの放散虫種に共生する共生藻についての検討を行った.最終目的である放散虫のゲノム抽出については,今年度も複数回,数種の遊走子放出のチャンスがおとずれたが,ゲノム抽出自体が難航している状況である.培養をすることができるようになれば,放散虫のゲノム解析は急速に進むものと考えている. 佐渡には,将来的なノルディック海へのサンプリングの予備調査として,放散虫の北方種の調査に赴いたが,残念ながら,ライフサイクルの関係か,十分な成果が得られず,予定されているノルウェーソグンダルフィヨルドの調査に向けて,寒帯種の観察をするために,再度,新潟大学佐渡実験施設を訪問し, 調査およびサンプリングを行う予定である.これらの寒帯種が共生藻を保持しているのかを予備的に調査し,共生藻を保持していた場合,その種類は,西半球ノルウェーの種がもつ共生藻との差異があるのかについて検討する.今年度は,「球状の」ナッセラリア5種について,また,新種のピコサイズの共生藻について現在投稿準備中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム解析にはまだ成功していないが,ルーチンとなっている各種の顕微鏡観察とそれにもとづくデータにより2本の論文執筆に着手している.
|
Strategy for Future Research Activity |
放散虫ゲノム解析については,ひきつづきその抽出に努め,放散虫のバイオミネラリゼーションやその起源についての考察を行なう予定である.また,共生体の種がコスモポリタンか否かについて,日本海やノルディック海の調査を行って,引き続き検討を行う予定である.
|
Causes of Carryover |
予定されていた実験や調査の結果,新たな方向性や問題点が明らかになり,次年度に繰り越して予算が必要であると判断した.例えば,プロジェクトの進行に必要な機器や材料について,次年度の予算を使用してこれらの購入が行わる予定である.
|