2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K03737
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
河部 壮一郎 福井県立大学, 恐竜学研究所, 准教授 (50728152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 正輝 福井県立大学, 恐竜学研究所, 准教授 (30713739)
田上 響 福岡大学, 理学部, 助教 (30578787)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 恐竜 / 脳 / 形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、様々な脳形態が見られる恐竜の中でも、特に頭骨形態の多様な角竜と鳥脚類において、頭骨形態と脳形態が互いに与え合う影響を定量的に評価し、どのような脳と頭骨の形態的共変化がおこったのか検証することで、「恐竜における脳形態の多様性を生み出した要因を明らかにすることを目的としている。 本年度は鳥脚類エドモントサウルス頭骨のCT撮影を行い、脳をはじめとした頭骨内部器官の解析を開始することができ、既に脳や神経系のセグメンテーションおよび可視化を行うこことができた。角竜については、これまでに既に撮影していたプシッタコサウルスおよびトリケラトプス頭骨のCTデータの再処理を行い、脳などの内部器官のセグメンテーションに着手した。さらに比較種として、竜脚類カマラサウルス頭骨のCT撮影も行い、脳形態の解析を進めている。 頭骨外部形態の解析については、恐竜類での解析の前にまずトカゲ類の頭骨を用いた解剖学的ネットワーク分析を予備的に行った。その結果、トカゲ類での共通したモジュールパターンを見出すことができ、一方でムカシトカゲ類とは大きく頭骨のつくりがトカゲ類では異なることを示すことができた。これにより、解剖学的ネットワーク分析を用いた頭骨形態の解析を問題なく行うことが確かめられ、恐竜類をはじめとした動物における多様な頭骨形態をつくりだす要因を解明できる可能性を示すことができた。この手法は恐竜類でも広く用いることのできるものであることがわかった一方で、保存状態が極めてよい化石標本を確保する必要があることもわかったため、この手法による解析を進めながらも代替となる形態比較の手法を用いることも検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた国内標本のCT撮影は一部を除きおおむね終えることができ、また得られたCTデータも解析に十分な精度であったことから、大きな問題なくデータ処理を進められている。しかし、中国や北米標本については、新型コロナウイルス感染症対策のため、実際に渡航して標本観察することができておらず新しいデータ取得には至っていない。しかし、標本管理側とは定期的に連絡を取り合い、今後の研究に大きな遅延がでなように調整を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
中国、北米標本の使用については、所蔵機関との連絡を何度かとり、次年度には実際にCT撮影およびその解析を行う予定となっている。 頭骨形態の解析においては、解剖学的ネットワーク分析だけでなく三次元幾何学的形態計測など他の手法も並行して実施していく必要性が今年度の結果から明らかになったため、より適切な解析手法を適応していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のため、予定していた国内化石標本調査をすべて実施することができなかったため、それに当てていた旅費等を使用できなかった。次年度には、新型コロナウイルスの蔓延状況を見つつ、実施できていない調査を適宜行う。
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