2023 Fiscal Year Research-status Report
炭酸塩コンクリーションから古生物の軟体部情報を解読する
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21K03740
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Research Institution | Fukada Geological Institute |
Principal Investigator |
村宮 悠介 公益財団法人深田地質研究所, その他部局等, 研究員 (90823667)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 炭酸塩コンクリーション / 化石 / 古生物 / 軟体部 / メゾンクリーク |
Outline of Annual Research Achievements |
炭酸塩コンクリーションは、堆積岩中に形成される炭酸塩を主成分とした岩塊で、多くの場合、内部に保存状態の良い化石が含まれる。本研究では、炭酸塩コンクリーションの炭素源が生物遺骸であることに着目して、炭酸塩コンクリーションから古生物の軟体部情報を抽出することを目指している。令和5年度はアメリカ・イリノイ州の上部石炭系(メゾンクリーク)から産出するコンクリーション約60点について、コンクリーションの重量とコンクリーション内部の化石の面積を測定した。この結果を元に、所属分類群が論争状態にあるタリーモンスター(Tullimonstrum gregarium)が、所属分類群が既知の他の古生物と比べて炭素含有率がどの程度であったかを検討した。これまでの研究成果は、令和6年度に行う研究の結果と併せて論文にまとめる予定である。 また、炭酸塩コンクリーションがどのような地球化学的環境下で形成されたかを明らかにするため、国内複数産地での野外調査と、それによって得られたサンプルの地球化学的分析を進めた。この成果の一部は、国際堆積地質学会(SEPM)発行のJournal of Sedimentary Researchで公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで200点超の炭酸塩コンクリーションについてコンクリーション重量と化石面積の関係を調査した結果、両者には明瞭な相関関係があることが明らかになった。このことによって、本研究の目的である、炭酸塩コンクリーションから古生物の軟体部の情報を引き出すことの道筋が立った。したがって、本研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、メゾンクリークから産出する様々な分類群の化石を含むコンクリーションにおいて、コンクリーションの重量と内包される化石のサイズには明瞭な相関関係があることが明らかになった。令和6年度は、コンクリーションの重量をコンクリーション中の炭素含有量に換算するため、コンクリーション中の炭酸塩含有量を測定する。この結果とこれまでに得られたデータから、コンクリーションに内包される古生物の炭素含有率を検討し、その結果を論文として公表する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症および育児休業での一時中断による計画変更が累積し、次年度使用額が発生した。これらは、当初の予定通り、旅費(野外調査、実験、学会参加等)・物品費(標本、調査用具等)・外注費(化学分析、試料作成等)等として使用する。
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