2021 Fiscal Year Research-status Report
大規模な火山噴火に伴う降灰及び植生変化は小型哺乳類の絶滅をもたらしたのか?
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21K03743
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Research Institution | Museum of Natural and Environmental History, Shizuoka |
Principal Investigator |
西岡 佑一郎 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 主任研究員 (00722729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 淳 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 教授 (60816461)
日下 宗一郎 東海大学, 海洋学部, 特任講師 (70721330)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 化石 / 第四紀 / 絶滅 / ネズミ / 哺乳類 / 四国 / 火山噴火 / 安定同位体分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
高知県の猿田洞(日高村)と穴岩の穴遺跡(佐川町)にて哺乳類化石の発掘調査を実施し、化石の予備的な分析を進めた。猿田洞では、洞内奥部に堆積した第四紀化石産出層を調査し、層序・地質の確認と測量を行なって産地の図面を作成した後、堆積物を約300 kg採取して搬出した。穴岩の穴遺跡では、洞口と洞内に位置する遺物出土地2箇所を調査し、図面の作成と堆積物約1 tの採取を行なった。また、穴岩の穴ではテフラ含有層と思われる堆積物を採取した。採取した堆積物は、4 mm目と0.5 mm目のフルイで水洗し、その残渣から動物遺骸及び人工遺物を取り上げた。 採取堆積物の処理ならびに化石の取り出し作業は進行中であるが、猿田洞からはシカ属、ニホンザル、食肉目数種、ハタネズミ属やアカネズミ属を含む齧歯目、トガリネズミ形目、翼手目などの歯牙化石が多数発見された。また、穴岩の穴遺跡から発見された哺乳類遺骸群集は現生種で構成されており、特にイノシシを多く含んでいた。安定同位体分析を用いた齧歯目の食性推定において、歯のエナメル質と象牙質の混在した試料でも適正な結果が得られるか予備的に検証したところ、誤差や変異が多少大きくなる傾向にあるが、森林棲の種はC3植物食を示す数値内に収まることが判明し、この手法を化石種の食性推定に適用できることが示された。テフラ層は肉眼観察にて火山ガラスの含有を確認し、詳細な分析を進めるための方針を立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
猿田洞の堆積物はすでに目標量を採取し、現地調査を80%終了した。穴岩の穴の堆積物はまだ多く残されているが、本年度採取した堆積物中の遺骸含有量を確認した上で計画的な発掘を行う必要がある。堆積物からの化石の取り出しがやや遅れているため、当初予定していた年代測定と化石の形態分析はまだ実施していない。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査は、猿田洞及び穴岩の穴遺跡の化石産出層と周辺の地質調査を中心に実施する。すでに採取した堆積物の処理を進め、化石の取り出しと同定を第一に進める。分析材料が整ったものから、化石の形態分析、年代測定、安定同位体分析、テフラ分析を実施する。
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Causes of Carryover |
研究分担者の一人が一身上の理由により当該年度中に研究にほとんど従事できなかった。当該年度で実施する計画だった内容は翌年度に実施することになったため、分担金の全額を次年度に繰り越して使用する。
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