2023 Fiscal Year Annual Research Report
生体模倣型の液架橋形成と氷による可逆接合を併用した把持力制御による物体操作技術
Project/Area Number |
21K03747
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
関口 悠 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (00712423)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 氷着 / 付着力 / マニピュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,液滴サイズ調整機構と冷凍機構を備え持つプローブを開発し,凍結現象によるマニピュレート手法を実現することを目的とした.液状の高分子が化学反応により硬化することで接着強度を発現するのと同様に,水は氷になることで接着剤として機能する.また,水・氷の相変化は可逆であるため脱離も可能,水を使うことで対象物を傷つけることがない点も魅力的である.一方で,確実なマニピュレートを実現するための課題も多かった.そこで本研究では,氷の接合強度を明らかにするとともに,マニピュレータのプローブ先端に液滴を形成し,凍結・把持を行う機構の開発に取り組んだ.氷による接着力は,一般的な接着接合と同様に,表面粗さおよび被着体の材質の影響を受けるだけでなく,液量の影響も大きく受けることが明らかとなった.水を冷却して凍らせるため,対象物の熱伝導特性によっても氷の生成条件が変わり,液量が多いほどその影響を受けたものと考えられる.氷の凝集破壊によって壊れる際には,引張強度で0.5MPa以上でるものの,一部のプラスチック表面ではその1/10以下しか接合強度がなかった.プローブ先端の氷の接着面積を1mm2確保できたとすると,最大で50g程度の物体を把持できるが,確実な端の実現のためには,対象物の重さは数グラム程度となることが明らかとなった.マニピュレータのプローブ先端での液滴形成として,結露を利用した自己生成型と液槽から液体をピックアップする供給型を検討した.プローブ形状を工夫することで,結露しやすいプローブ形状やピックアップしやすいプローブ形状が開発されたが,両立は難しいことが明らかとなった.また,結露しやすいプローブ形状の一部は,同じ条件で冷却しても凍結まで至らないものも存在した.これらの検討から,プローブ形状の工夫により,複数の液的共有法によって凍結現象によるマニピュレートの実現可能性を示すことが出来た.
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