2022 Fiscal Year Research-status Report
エコマテリアルに宿る名医を呼び起こすためのD∞圧電体の湿熱電気弾性場研究
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21K03774
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
石原 正行 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (60283339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀尾 佳貴 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (60611431)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | D∞対称性 / 湿熱電気弾性理論 / 生分解性ポリマー / ポリ乳酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,特異な異方性(D∞対称性)を持つ圧電材料(PLA(ポリ乳酸))からなる屈曲・ねじれ動作を兼ね備える知的構造物に対して,使用環境を考慮した合理的な設計手法の確立を目指して,材料の異方性を考慮した湿熱電気弾性基礎理論を構築し,構造物内の湿熱電気弾性場を解明することを目的としている.本年度は以下の成果を得た. 前年度に導出した温度項・湿度項の影響を考慮した構成方程式およびポテンシャル関数による3次元湿熱電気弾性場解析手法に基づいて,温度・湿度それぞれの影響を考慮した帯板状・円柱状の物体における湿熱電気弾性場諸量(温度・湿度・変位・ひずみ・応力・電位・電場・電気変位)を理論的に明らかにしたうえで,数値計算により,その分布を詳細に調査し,材料のもつ特異な異方性が湿熱電気弾性場分布におよぼす影響を明らかにした.特に,力学的入力を電気信号により検知するセンサに対して,せん断応力負荷を受けて表面で電気変位が発生する円柱状理論モデルに対して,上記解析手法に加えて各種積分変換法を適用することにより湿熱電気弾性場諸量の厳密解を得るとともに数値計算を実施し,湿熱環境が電気信号に与える誤差を定量的に評価し,湿熱環境を軽視することが重大な結果をもたらすことを明らかにした.これらの成果は,従前の実験的手法では解析しえなかったものであり,上述の知的構造物の合理的設計手法の確立に貢献するものであるため,学術集会・国際学術誌にて発表し,また一部分はさらなる発表をするために準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた「センサ機能を想定した円筒構造物の湿熱電気弾性場の解明」は達成したが,「アクチュエータ機能を想定した円筒構造物の湿熱電気弾性場の解明」については途上であることから,計画よりは遅れていると考えられる.一方,次年度に予定していた「円筒構造物において使用環境による悪影響を補正する方策の検討」について,センサ機能に関しては前倒しで実施し成果を得ているという点では,計画よりも進展していると考えられる.また,温度・湿度間の連成効果を完全に考慮した湿熱電気弾性場の解明にも着手し,成果発表の準備中である.これらを総合的に考慮して「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
以後は,屈曲・ねじれ動作を兼ね備える知的構造物に対する使用環境を考慮した合理的な設計手法の確立を目標として,「アクチュエータ機能を想定した円筒構造物の湿熱電気弾性場の解明」および「D∞圧電体からなる円筒構造物において使用環境による悪影響を補正する方策の検討」に取り組みたいと考えている.
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Causes of Carryover |
本年度に予定通り「センサ機能を想定した円筒構造物の湿熱電気弾性場の解明」を実施した結果,次年度で予定していた「円筒構造物において使用環境による悪影響を補正する方策の検討」についてセンサ機能に関しては前倒した方が適切であることが分かり,その実施を優先したため,当初予定していた成果発表を次年度に行うことにしたため未使用額が生じた.そのため,次年度では当初予定に加えて,延期した成果発表を行うための費用が必要となり,未使用額はその経費に充てることとした.
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Research Products
(5 results)