2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of simultaneous friction welding technique with low heat input for difficult materials combination with insert metal
Project/Area Number |
21K03775
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
木村 真晃 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (90285338)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 摩擦圧接 / A7075 / 軟鋼 / 純Ti / インサート材 / 同時接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,超々ジュラルミン(A7075)のようなアルミニウム(Al)合金の中でも変形能の悪さや軟化を生じやすいことから溶接が難しい難接合材料を用いた異材継手を摩擦圧接法により接合し,接合部で破断しないような良好な継手が得られる低入熱同時摩擦接合技術を確立・提案することを目的としている.その中で,今年度は,直接合が極めて難しいA7075と鉄鋼材料との組み合わせを取り上げ,両材料に対して比較的接合性が良いことが知られている純Tiをインサート材として選択し,同時接合を行った際の接合条件と接合端部形状に関する検討を行った. まず,接合条件について検討するため,接合端部の直径を全て同じ10mmとし,接合条件の各パラメータのうち,摩擦速度を27.5s-1,摩擦圧力を90MPa,アプセット圧力を90MPaの一定条件とし,摩擦時間のみを種々変化させて検討を行った.その結果,摩擦時間0.5s~0.8sの範囲において比較的高い引張強度を有する継手が得られることが分かった.しかし,直接接合の場合と同様に接合後の継手のA7075側にはばり割れが認められた結果となってしまったため,端部形状を変更させる必要があることが分かった. 次に,A7075側のばり割れを防止するため,純Ti製のインサート材のA7075側と接触する接合端部の形状を変化させて検討を行った.その結果,得られた継手にはばり割れが認められた結果となったが,インサート材に張出部を設けることでその割れが接合部の内部にまで進展することを防止することができ,かつインサート材の接合端部直径を小さくすることで継手強度が増加する傾向を示すことが分かった. 一方,マルチマテリアル化に向けての接合手法の拡大のため,実験装置の変更・改造のための部品製作も上記の実験と平行して実施し,将来に向けての実験範囲拡大への基盤作りも実施した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の欄でも記したように,今年度は,A7075と鉄鋼材料との組み合わせに関し,両材料に対して比較的接合性が良いとされている純Tiをインサート材として選択し,これらを摩擦圧接法により同時接合を行った. ところで,摩擦圧接の場合,接合条件である各パラメータのうち,摩擦時間をアプセット圧力が得られる継手強度に大きく影響を及ぼすことが一般には知られている.そこで,最初に適切な摩擦時間の探求を行った.その結果,高い引張強度を有する継手を作製するためには,摩擦時間は適切な範囲に設定する必要があることを明らかにした.しかし,得られた継手のA7075側に注目すると,直接接合の場合と同様にA7075側にはばり割れを生じた結果となった. より強固な継手を作製するためには,アプセット圧力を付加することが不可欠なるため,このばり割れは防止する必要がある.そこで,接合端部形状を種々変更して接合実験を行った.その結果,インサート材の接合端部に張出部を設けることでばり割れを接合部の内部にまで進展することが防止でき,かつインサート材の接合端部直径を小さくすることで継手強度が増加する傾向にあることを示した.これより,適切な接合端部形状とすることでばり割れを防止できる,もしくはその割れを低減できることが分かった. 一方,上記の接合実験は,研究代表者が所有している接合実験装置を用いて行っていたが,一部の部品が古いことにより上手く接合できない場合もあることも明らかとなった.そこで,将来に向けての実験範囲拡大への基盤作りも含めた実験装置の改造・改良も実施した. 以上のように,研究の実施計画と進捗状況は当初の計画と比較して多少前後したものの,研究はおおむね順調に進展していると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
前述したように,昨年度に実施した研究により,A7075と鉄鋼材料との組み合わせで純Tiをインサート材としたときの適切な摩擦時間を見出すことができた.また,純Tiインサート材の接合端部に張出部を設けることでA7075側に生じたばり割れを接合部の内部にまでの進展を防止できる可能性があることもわかった. ところで,摩擦圧接の場合,接合端部の直径が変化すると同じ接合条件で継手を作製しても同様な結果が得られない場合も指摘されており,その一因として接合面内における相対速度の変化がある.よって,昨年度の研究により得られた知見,すなわち純Tiインサート材の接合端部直径を小さくすることで継手強度が増加する傾向にあるという結果を活用するためには,接合端部直径は10mmの一定として行うことが望ましいと判断できる.そのため,A7075側の接合端部直径を大きくし,それと接触する純Tiインサート材の接合端部直径を10mmとすることで,継手強度がどのように変化するかの詳細を調べる.そして,昨年度の研究と同様な結果となるを明らかにする.それに引き続き,継手強度に影響する接合条件のパラメータの1つであるアプセット圧力を増加させて接合実験を行い,得られる継手がどれくらいの強度を有するのかなどを調査する. 一方,本組み合わせは異種材料を組み合わせた異材継手であることから,継手強度に影響を及ぼすとされる金属間化合物の生成状態なども明らかにする必要があるため,得られた継手の冶金的な検討も実施し,低入熱状態で接合が達成されているかなどの検討も行う. 以上の様な方策で,研究を実施していく予定である.
|
Causes of Carryover |
次年度への使用額が生じた理由は,新型コロナウィルスによる影響です.当初は旅費の金額を計上していたが,新型コロナウィルスの影響を受けて,現地ににおいて実施するイベントなどの出張は,勤務地における規定なども含めて全てなくなりました.また,学会発表もすべてオンライン/オンデマンド実施への変更となり,旅費として予定していた金額を執行することが出来なくなりました.したがって,次年度使用額が生じました. 一方,今年度も新型コロナウィルスの影響により研究活動がどのように制約を受けるのかは不透明であること,ウクライナ情勢などの影響による各種商品の値上げや物流高騰なども考慮すると,消耗品購入・納入に係る経費・費用の高騰も避けられないと考えられる.また,研究を推進していく際に生じる適用範囲の拡大のための接合実験装置の変更・改造にともなうベアリングなどの新規消耗品の追加もあるため,繰越額も含めた予算額の執行は,計画通りに研究が遂行してもほぼ使用できるものと判断します. したがって,次年度使用額に変更が生じたとしても問題ないと判断しました.
|
Research Products
(2 results)