2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of prediction system for mechanical properties of multi-material structures by data assimilation and multiscale-multiphysics analysis
Project/Area Number |
21K03776
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
岸本 喜直 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (20581789)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 逆問題 / マルチマテリアル / マルチスケール / マルチフィジックス |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究実施計画にしたがい,基礎試験片に対する本予測システムの予測精度を明らかにするために,計算コードの製作と打撃試験を進めた.まず八組のボルト,ナット,座金を用いて,鋼板二枚を手締めで締結した鋼-鋼試験片と,アルミ板材と鋼板を同様に締結したアルミ-鋼試験片の二種類を用意した.これらの試験片を塩水に浸して接合面の腐食の進行を観察した.いずれの試験片も6週間程度で接合面が十分に腐食した.ボルト,ナット,座金を取り外すと,試験片は板材間で固着していた.固着した板材を引きはがしてから,接合面の表面性状を測定すると,腐食前よりも最大高さ粗さにして約10倍粗かった.これらの測定データをもとに,本予測システムを用いて試験片の固有振動数を予測した.一方で,実際の試験片に対しては腐食させた後にそのまま打撃試験を実施した打撃試験A,腐食させた後にボルト,ナット,座金だけを取り外してから再度これらを取り付けた打撃試験B,腐食させた後にボルト,ナット,座金を取り外したうえで固着した板材二枚を引きはがしてから再度組み立てた打撃試験Cの三通りの試験を行った.打撃試験Aの固有振動数は手締めした腐食前の試験片よりも高かった.打撃試験Bの固有振動数は腐食前の試験片と同程度であった.これはボルト・ナットの締付力を変化させても同様であった.打撃試験Cの固有振動数は腐食前の試験片および打撃試験Bよりも低かったが,本解析システムによる数値シミュレーションの予測結果とよく一致した.以上より,腐食させた後の試験片において,固着したままであれば板材間の接触状態がほとんど変化していないことから腐食していない試験片として予測したほうが良いことがわかった.また,引きはがして再度組み立てた場合は板材間のかみ合わせが変わるので,固着した板材を引きはがしてから測定した表面性状の測定データを用いて予測したほうが良いことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度内は間欠的に研究室の利用が制限されたため,計画通りに実験を実施できない期間があった.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究成果から,試験片の接合面における接触状態が試験片の固有振動数に大きな影響を与えることが確認できた.特に板材同士が接合面の腐食によって固着するが,固着が引きはがされない限りは腐食前の試験片の固有振動数と同程度になっていた.2022年度はボルト・ナットに種々の締付力を与えた状態で腐食させて同様の試験を実施して,試験片の接合面の状態と固有振動数の変化を調べる予定である.
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Causes of Carryover |
当初の予定のとおり,小型引張/圧縮試験機の購入に助成金を使用した.2021年度分の試験片の材料は昨年度以前に予備的に実施した実験データとの整合を確認するために現有のものを使用したので,残額が生じた.この残額は2022年度の試験片材料費として使用予定である.
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