2021 Fiscal Year Research-status Report
測定表面の法線ベクトル検出機能の付加による三角測量式光学センサの測定精度の向上
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21K03796
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
伊藤 幸弘 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 准教授 (80431972)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シリコンウェーハ / 形状測定 / 三角測量式光学センサ / オートコリメータ / 測定偏差補正 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコンウェーハの高精度表面形状測定において,三角測量式光学センサの測定原理により理論上生じる偏差の有無,およびその影響の大きさについて実験的に検証した. 三角測量式光学センサにおいてはその測定原理により,測定表面の高さの変化による真の変位と測定表面の傾きの変化により生じる見かけ上の変位を分離することができない.そのために,自重により大きくたわみ傾斜が生じている大口径シリコンウェーハの表面形状の測定に三角測量式光学センサを使用した場合は,理論上測定値には真の表面形状からの偏差が含まれている可能性が考えられる. そこで,まずは形状が既知である非球面レンズを測定対象として検証した.その結果,測定表面の傾斜角度が±1deg以下の範囲においては,実験に使用した三角測量式光学センサの分解能である0.1μm以上の偏差は見られないことがわかった.これに対し,測定表面の傾斜角度が±1deg以上になると,傾斜角度の増加に伴う偏差の増加も見られ,三角測量式光学センサにおける測定表面の傾きにより生じる偏差を確認し,その影響の大きさについて定量的な知見を得た.以上の実験結果から,表面形状測定のためにウェーハを外周三点で支持した場合の表面の傾斜が最大でも1deg以下である現行の直径300mmウェーハにおいては,偏差の影響は見られないことが予想された.そこで次に,実際に直径300mmウェーハを測定対象として,表面形状測定に対する偏差の影響の有無を実験的に確認したところ,予想通り偏差の影響は見られず前述の検証結果の妥当性を裏付けることができた. 一方で,直径450mmウェーハを測定対象とした場合には三角測量式光学センサの測定原理による偏差が表面形状測定結果に影響することが予想され,今後の本研究課題への取り組みによる三角測量式光学センサの測定精度向上の意義を確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の着想に至った事前の研究結果からは,直径300mmシリコンウェーハの表面形状測定においても,三角測量式光学センサの測定原理のために生じる偏差の影響が大きいと結論付けていたが,その結論に疑義が生じた.そこで,「研究実績の概要」に示した検証を再度行ったため,当初の予定より進捗はやや遅れている. 事前の研究においては,直径300mmシリコンウェーハの表面形状測定することのみにより,三角測量式光学センサの測定原理のために生じる偏差の有無,およびその影響の大きさの検証を行った.これに対して再度の検証では非球面レンズを用い,また直線性や分解能の高い変位テーブルを用いてより高精度に検証した.これにより信頼性の高い結論を得て,今後の本研究課題への取り組みの意義を確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
三角測量式光学センサを用いた大口径シリコンウェーハの表面形状測定の際には,測定原理のため測定対象表面の傾きにより偏差が生じることを確認した.次世代450mmウェーハにおいてはその影響が顕著となることから,当初の計画通りオートコリメーション機能を利用して測定対象表面の法線ベクトルを検出することによる,三角測量式光学センサの測定精度の向上に取り組む. 2022年度の前半はオートコリメータの原理や特性を知るために基礎実験用の光学系の構築を行い,実験用法線ベクトル検出器を製作する.次に2022年度の後半は製作した検出器を表面形状測定装置に取り付けてウェーハ表面全面の法線ベクトルの検出を試みる.2023年度はウェーハ表面形状と法線ベクトルの同時取得を目的とした,三角測量式光学センサへの法線ベクトル検出器の実装を試みる.
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Causes of Carryover |
研究課題取り組み当初は,2021年度は基礎実験用オートコリメータ光学系の構築に取り組み,コリメータ光源用の半導体レーザーやポジションセンサ用のCCDカメラやフォトダイオードなどの購入を予定していた.しかしながら,「研究実績の概要」や「現在までの進捗状況」に示したように,2021年度は「シリコンウェーハの高精度表面形状測定において,三角測量式光学センサの測定原理により理論上生じる偏差の有無,およびその影響の大きさについての実験的検証」に時間を割いた.これにより2021年度に購入を予定していた実験用品を取得しなかったため,次年度使用額が生じた. 2022年度には基礎実験用オートコリメータ光学系の構築に,および法線ベクトル検出器の製作に取り組み,計上額を使用する予定である.
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Research Products
(2 results)