2022 Fiscal Year Research-status Report
マシニングセンタ用ハイブリッド主軸による工具振動変位の推定
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21K03813
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
島名 賢児 鹿児島工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (90353359)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小径エンドミル加工 / 工具たわみ |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイブリッド主軸で用いられることを想定している細長いツールホルダ部にケイ素鋼板を固定したものに直径6mmのエンドミルを取り付けて切削実験を行った。その前に予備実験として、なるべく工具たわみ量が大きくなり、さらにびびり振動が発生しないエンドミルの突き出し量を決定するために、工具突き出し量を35mmから55mmの間で5mm間隔で変えて、びびり振動の発生しやすいアップカットで切削実験を行った。その際、主軸部に固定した加速度センサにより切削中の加速度を測定した。また、加工後にデジタルマイクロスコープを用いて加工面の観察を行った。その結果、加工面の観察ではびびり振動の発生は判別できなかったが、加速度の結果から工具突き出し量が40mmまではびびり振動が発生しないことがわかったため、本実験では工具突き出し量を40mmとした。さらに、切削中のエンドミル先端部のたわみ量を測定することは困難であるため、エンドミルのシャンク部にアルミニウムのリングを焼き嵌めにより取り付けた。また、事前にエンドミル先端部とアルミリング部の変位量の関係を調べ、係数2.81という値を得ることができた。 本実験では、被削材の快削黄銅を7°傾けて固定することにより、軸方向の切込みを直線的に増加させるように設定した。なお、切削はダウンカットで行い、切削中のアルミリング位置の変位量をレーザー変位計により測定した。切削実験後、加工面の加工誤差を接触式変位計により測定した。その結果、切削中にレーザー変位計により測定したアルミリング位置の変位量に係数2.81を掛けることにより推定した工具先端のたわみ量の結果と、切削実験後に接触式変位計により測定して得られた加工誤差の結果はほぼ一致し、切削中のエンドミルシャンク部から工具先端のたわみ量を推定する方法が有効であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
通常用いられるツールホルダに比べて細長いものを用いており、これまで研究代表者が検証してきた、切削中のエンドミルシャンク部から工具先端のたわみ量を推定する方法の適用が懸念されたが、今回の実験においても有効であることが実証された。さらに、ツールホルダ部に固定された比較的重量のあるケイ素鋼板が工具回転に悪影響を及ぼすのではないかと懸念されたが、本実験前にバイトで慎重に外周を切削したことにより上手く芯出しができ、工具回転にほぼ影響がないことがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ねじれ刃のエンドミルは、エンドミル先端から刃が螺旋状になっているため、切削中の工具先端のたわみ量の推定は困難である。今回の実験ではおおよそ推定することはできたが、今後はねじれ刃の形状を考慮した工具先端のたわみ量の推定方法を検討していく必要がある。そのため、被削材の形状の改良およびねじれ刃の形状を詳細に調べることにより、より高い精度での工具先端のたわみ量の推定が可能となることが期待される。
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Causes of Carryover |
国際会議等で成果発表を予定していたが、ハイブリッド主軸に関する技術情報の公表に対して慎重になったため、成果発表ができなかった。 令和5年度はハイブリッド主軸に関する技術情報を上手く抽出して国際会議等で成果発表を行う予定。
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