2021 Fiscal Year Research-status Report
積層造形における製造要件を考慮した一気通貫型の高速最適設計法の構築
Project/Area Number |
21K03826
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三木 隆生 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (80806753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 崇恭 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30598222)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トポロジー最適化 / 構造最適化 / 最適設計 / 金属積層造形 / Additive Manufacturing / 金属3Dプリンタ / Design for AM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,金属積層造形における熱変形や積層可能な角度の制限など,造形時に発生する課題を設計段階で考慮可能な高速最適設計法の構築を目的としている. 本年度は造形過程で発生する不均一な熱変形,残留応力の要因となる熱散逸に着目し,造形時の熱散逸を考慮したトポロジー最適化法の構築に取り組んだ. はじめに,造形時の熱履歴を表す数理モデルを非定常熱伝導方程式に基づいて定式化し,有限要素法に基づく数値解析アルゴリズムを構築した.具体的には,要素を積層方向に一定の厚みで分割し,各層における材料物性値のスケーリングの有無によって材料の積層を表す手法を確立した.そして下層から順次熱源を与えることによって造形時の熱履歴を表すことに成功した.また本手法は層全体を熱源として扱うことにより,従来用いられてきた移動熱源に比べて計算量を低減できる特徴を持つ.二次元モデルを対象として数値解析を行った結果,熱源を与えた層内に温度分布が生じたことから形状によって熱散逸が異なることを示した. 次に,数理モデルに基づいて熱散逸を最大にするための最適化問題を定式化し,レベルセット法に基づいたトポロジー最適化法及び最適化アルゴリズムを構築した.二次元及び三次元モデルに対して最適化を行った結果,いずれのモデルにおいても熱散逸が向上したことを確認し,方法論の妥当性及び有効性を示した.また,これらの研究成果は国際学術雑誌に掲載されるに至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は造形過程で発生する不均一な熱変形,残留応力の要因となる熱散逸に着目し,造形時の熱履歴を表す数理モデルの定式化及びトポロジー最適化への組み込みに成功した.当初の計画通りおおむね順調に進展しており,想定通りの成果が得られたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
複数の製造要件を考慮する上で計算量の増大が課題となる.そこで最適化に膨大な計算を要する造形時の熱変形を考慮したトポロジー最適化法の高速化に取り組む.具体的にはこれまでの積層毎に数値解析を行う方法から,ひずみ分布を一元的に表す数理モデルによって一度の数値解析で算出する方法を構築し,計算量の低減を図る.その後,本研究の目的である複数の製造性を考慮可能な最適化システムの構築に取り組む.
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Causes of Carryover |
研究の効率化による残留応力測定器のレンタル費用の削減及び打ち合わせのオンライン化による旅費の削減により,当初計画よりも経費の節約ができた.次年度は大規模計算機を購入予定であり,当初計画よりもRAM容量が必要になることがわかってきている.したがって,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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