2021 Fiscal Year Research-status Report
フレキシブル材料のヒステリシス摩擦力を制御するための新技術の開発
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21K03833
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
前川 覚 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90637406)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トライボロジー / ソフトマテリアル / ヒステリシス摩擦 / 硬質粒子 / 摩擦力制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究所年度である2021年度では,PDMS(ポリジメチルシロキサン)母材に硬質粒子(直径um)を埋め込んだ剛性不均一ソフトマテリアルシートとモデル粗さ(ピッチ1mmの凹凸アクリル平板)の間の摩擦力測定を行い,硬質粒子含有によるヒステリシス摩擦増強効果について検討した.硬質粒子の含有密度や母材硬さ,垂直荷重などをパラメータとした摩擦実験を行った結果,従来の粘弾性特性に着目した材料開発とは異なる観点からヒステリシス摩擦を増強可能であることを明らかにした.具体的には,硬質粒子の含有密度が高いほど,母材の弾性率が低いほど,そして垂直荷重が大きいほど摩擦力増加効果が高まることが明らかになった.加えて,実験結果および有限要素解析による数値シミュレーション結果を基にして,摩擦増加効果を定量的に予測するための設計式の導出を行った.ただし,同設計式の精度やその妥当性を検証するためには,追加の実験検証やさらなる理論構築などが残されており今後の検討が必要である. なお,2021年度における研究成果の詳細は,学会発表(2件)により公表済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定していたヒステリシス摩擦増強効果の実験検証が完了し,加えて数値シミュレーションによりその発現メカニズムについても明らかになっている.学会発表などを通してその有用性についても公開済みである.一方で,摩擦増強効果を定量的に予測するための設計式についてはその精度や妥当性について検討を要する点を残しており,追試験やさらなる理論構築の必要性がある.以上を踏まえて,本研究はおおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは,周期溝構造を有するモデル粗さにおいて,硬質粒子含有によるヒステリシス摩擦増強効果について検討した.一方で,本研究を実用展開するためには,一般粗さ(ランダム粗さ)における摩擦増強効果の検討が必要である.実験による検討に加えて,数値シミュレーションや理論解析などを併用しながら,本研究成果により得られた摩擦制御技術を一般粗さに拡張していく予定である.
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Causes of Carryover |
ヒステリシス摩擦増強効果の実験検証において,従来の条件設定に加えて,より広範囲での実証試験を行うために追加の使用が必要となった.加えて数値シミュレーションモデルの検討に向けての環境整備のために増額が必要となった.
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