2022 Fiscal Year Research-status Report
フレキシブル材料のヒステリシス摩擦力を制御するための新技術の開発
Project/Area Number |
21K03833
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
前川 覚 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90637406)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | トライボロジー / ソフトマテリアル / ヒステリシス摩擦 / 硬質粒子 / 摩擦力制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目である2022年度では,初年度の実験結果のモデル化および理論構築を行った.具体的には,PDMS(ポリジメチルシロキサン)母材に硬質粒子(直径300μm)を埋め込んだ剛性不均一ソフトマテリアルシートとモデル粗さ(ピッチ1mmの凹凸アクリル平板)のヒステリシス摩擦増強効果を対象として,そのメカニズム解明を行った.硬質粒子が相手面突起とかみ合うことで,接線方向(すべり方向)に弾性ひずみエネルギーが蓄積される.硬質粒粒子が突起を乗り越える際に散逸する弾性ひずみエネルギーが摩擦力成分として現れる.同モデルを用いて,ヒステリシス摩擦増強効果を定量的に説明可能であることを明らかにした.また,同モデルを改良することで,粗さのピッチや高さ,材料物性などの各パラメータが摩擦力増加に寄与する効果の定量化が次年度の研究課題である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定していたヒステリシス摩擦増強効果の実験検証が完了し,加えて数値シミュレーションによりその発現メカニズムについても明らかになっている.本年度では,基礎的な理論モデルの構築も進んでおり,予定通りの進捗である.一方で,今後の課題としては,ランダムな実粗さ面において上記効果の実験検証およびモデル化である.理論モデルの一般化および実設計への展開に向けて,追試験やさらなる理論構築の必要性がある.以上を踏まえて,本研究はおおむね順調に進展していると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでは,周期溝構造を有するモデル粗さにおいて,硬質粒子含有によるヒステリシス摩擦増強効果について検討した.一方で,本研究を実用展開するためには,一般粗さ(ランダム粗さ)における摩擦増強効果の検討が必要である.実験による検討に加えて,数値シミュレーションや理論解析などを併用しながら,本研究成果により得られた摩擦制御技術を一般粗さに拡張していく予定である.
|
Causes of Carryover |
従来の条件設定に加えて,より実環境に近い実粗さ面を対象とした実証試験を行うために追加の使用が必要となった.加えて数値シミュレーションモデルの検討に向けて環境整備のために増額が必要となった.
|