2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K03836
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松岡 広成 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (10314569)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 功 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (70845164)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 表面力 / 溶媒和 / 吸着分子 / 液体中 / 超高精度計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、様々な機械で超精密作動性が要求されている。また、小型化も加速しており、微小機械要素の加工技術及び超精密作動性の向上が重要性を増している。小型化に伴いスケール効果が生じるため、凝着力などの表面間力の影響が慣性力や重力などの体積力に比べて顕著となる。その結果、表面間力が超精密動作性能を左右することになり、表面間力の発生メカニズムと基本特性の解明が課題となっている。 こうした状況の下、本研究の目的は、液体中での表面間力を対象として、液体の固体表面への溶媒和および吸着分子の影響を明らかにすることである。より具体的には、 (A) 超高精度表面間力測定装置を用いて液体中での球・平面間の表面間力を2面間距離の関数として測定し、これを真空中・空気中での測定結果と比較することによって、種々の材料の組み合わせでの液体の溶媒和および吸着分子の影響を明らかにすること (B) 上記の測定装置を用いた場合の表面間力計測シミュレーションを行い、液中表面間力の特性抽出・成分抽出をより高精度に行う手法を開発すること である。 今年度に実施した研究の成果について、まず(A)については、引き続き水中での実験を行い、より高精度に表面間力を測定した。特に、接近・引き離し速度を変化させてその表面力の変化を観察した。また、液体中での固体表面の吸着分子を定量的に把握しつつ表面力を測定する必要性から、QCMを表面力測定装置に組み込み、表面力と同時にQCMの周波数シフトを測定する手法の構築に着手した。まだ空気中の測定にとどまっているが、今後液中での測定に展開していく予定である。上記(B)については、昨年度開発に着手したソフトをベースに、粘弾性および周囲液体を考慮できるよう改良を行った。現段階ではまだ開発途中であるが、実験結果の一部を定性的に説明する計算結果を得られるようになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に液体中で使用できるように改良した超高精度表面力測定装置を使用して、より高精度に再現性の良いデータを取得できるようになった。また、接近・引き離し速度を変化させた実験を行い、その基本的な特性が得られた。さらに、吸着分子の影響を解明するためのアイデアとして、QCMを使用することを考案し、それを装置に組み込んでその基本特性を把握した。 また、昨年度に開発した表面力測定装置のシミュレーションソフトを改良し、材料の粘弾性特性および周囲液体を考慮して計算できるようにした。現段階ではまだ開発途中であるが、実験結果の一部を定性的に説明する計算結果を得られるようになった。 上記の内容は、当初の研究計画にほぼ合致しているため、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、改良した実験装置を用いて水中での実験データを種々の実験条件下(押し上げ速度,引き離し速度,待機時間,温度等)で取得し、それらの詳細な解析を行う。特に、速度依存性については実験と理論の両面から特性の解明を行う予定である。その後、固体および液体の種類を変えて表面力測定実験を行う(平面はBK7,シリコン,雲母,金等、球はBK7,SUJ2等、液体は水,シリコン油,鉱油,エステル類等を考えている)。 シミュレーションについては、固体材料の特性を加味して、液中におけるシミュレーションをより高精度に得られるソフトウェアの開発を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、現地で成果発表の予定であった会議の多くがオンラインとなったこともあり、旅費が不要となったのが大きかった。 今後の使用計画としては、実験が軌道に乗ってきているので実験部品・消耗品をより多く使用するうえ、成果発表の機会も増加すると予想されるため、特に問題なく使用が見込まれる。
|
Research Products
(6 results)