2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of nano-coating film using laser peening and evaluation of tribo performance
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21K03837
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 正浩 岡山大学, 自然科学学域, 教授 (80209014)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 表面改質 / ナノコーティング / レーザピーニング / テクスチャー / 機械要素 / トライボロジー / 摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,レーザピーニングを援用して,高負荷・高滑り運転条件下においても動力損失の低減と耐焼付き性向上を実現する新しいレーザ援用表面改質法を開発する.YAG レーザ発振器を用い,電動ステージとレーザ発振を同期制御して試験片表面にレーザピーニングを実施した.レーザピーニングの主な応用目的は,表面の耐久性,すなわち疲労寿命の向上であるが,本研究ではピーニングと同時に表面プロファイルのコントロールを同時に行う.本年度は,レーザ照射範囲のオーバーラップや走査法を変化させて異なるパターンで表面形状を生成し,表面の圧縮残留応力の状態からレーザピーニングの効果を評価したうえで,表面の耐久性に悪影響を及ぼさないことを明確にするため円筒試験によるすべり転がり接触条件下で表面耐久性を調べた.その結果,本年度試したものではいずれの場合も従来表面耐久性向上に効果のあったショットピーニングを施したものと同等の効果が得られることが確認できた. また,運転初期での最適なトライボ表面の生成を促進するためのナノカーボンコーティングをトライボ表面に施すことを試みた.本年度は表面にカーボン粒子を種々の方法でプリコートしたうえでレーザピーニングを施すことで,そのエネルギーによりトライボ表面に強固なナノコーティング被膜を施すことを検討した.レーザアブレーションによりカーボン粒子の一部は除去されるもののトライボ表面にはカーボンコーティングできることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の技術的課題は,潤滑性と表面耐久性を両立し,かつ低摩擦性を長期間持続できる最適なテクスチャーの形成,テクスチャー形成と同時にナノコーティングできるレーザ発信条件の確立,形成されたナノカーボン膜のトライボ特性評価などを総合的に実施することである.そのうち,表面耐久性について,高硬度に焼入れしたSUS440CおよびSCM415製の試験片表面に各種条件でレーザピーニングを施し,圧縮残留応力を付与するとともに表面に微細なテクスチャーを形成して,すべり転がり接触条件下で耐久試験を行い,形成されたテクスチャーによる耐久性への悪影響がないことが確認できた.また,表面にカーボン粒子をプリコートしたうえでレーザピーニングを施すことで,トライボ表面にはカーボンコーティングできることが確認できた.トライボ表面のナノカーボンコーティングの構造解析や低摩擦性が発揮されるすべり距離の実験的検証などは予定通り実施する準備ができている.さらに,その結果に基づいて実施するすべり転がり接触条件下での高負荷円筒試験の準備も進んでおり,概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
レーザピーニングで得られる表面テクスチャーと表面残留圧縮応力が表面耐久性に及ぼす影響と,トライボ表面へのナノカーボンコーティング法について検討してきたが,さらにレーザピーニングの走査法とオーバーラップを変化させて表面テクスチャー形状のバリエーションを増やすとともに,それが摩擦・潤滑特性に及ぼす効果を究明する必要がある. また,表面に創製したナノカーボンコーティングについてEPMAおよびラマン分光分析により詳細に検討するとともに,摩擦特性に及ぼす影響を往復摺動試験で検討し,レーザ援用ナノカーボンコーティングとテクスチャーによる総合的な摩擦低減効果を発揮できる最適なレーザピーニング条件を究明する.そのうえで,ナノカーボンコーティングとテクスチャーを円筒試験片に施し,すべり転がり接触条件下での摩擦特性の検討を進める.高負荷での円筒試験ではナノカーボンコーティングによる摩擦低減効果は,比較的運転初期に限定されるものと考えられるため,運転初期で如何に早期に摩擦低減効果が得られる最適なトライボ表面を形成できるかの観点で検討するとともに,表面テクスチャーによる中長期の摩擦低減効果も調べる. 以上の試験・解析結果を総合して,トライボ機素表面の表面耐久性を上げつつ,適切なテクスチャーを付与すると同時にナノカーボン薄膜コーティングをできる新たなレーザ援用表面改質法を開発し,運転初期から低摩擦であり,かつ中長期の運転でも低摩擦を維持できるトライボ機素表面の創成についてまとめる予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は,過去に製作した試験片を用いて研究を進めることができたため,新規の試験片製作費用を翌年に繰り越すこととした.本年度は,試験片製作を含めて予定通り使用する計画である.
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Research Products
(1 results)