2021 Fiscal Year Research-status Report
関節軟骨の階層性,異方性構造に着目したバイオインスパイアードハイドロゲルの開発
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21K03840
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鎗光 清道 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (90723205)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 温湿度制御 / 高強度ゲル / 低摩擦 / 低摩耗 / 傾斜構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,階層性,異方性を有するポリビニルアルコール(PVA)ハイドロゲル作製の基盤技術構築のため,ハイドロゲル作製時の温湿度条件がハイドロゲルの弾性率や潤滑性に与える影響を検討した. その結果,ハイドロゲル作製過程において,高湿度下(80%RH)で高温乾燥(60℃)処理を6~12時間設けることで,弾性率が高く,ひずみ80%,圧縮応力10MPa程度の負荷にも耐えうる強靭なハイドロゲルを作製可能であることが明らかになった.また,このゲルは水潤滑下で摩擦係数0.01程度の低摩擦を示すとともに,ヒアルロン酸等の潤滑成分を含む溶液中では千分の一オーダーの極低摩擦を実現可能であることも明らかになった, また,高温乾燥処理時間の制御により,ゲル表層側と低層側で異なる物性を有するゲルを作製可能であることがわかり,傾斜構造,階層性構造を有するハイドロゲルの創成において有用な知見を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,本研究課題と関連する前年度までの研究課題において新たに見つかった,ゲルの機械的特性の制御における課題を踏まえ,ゲル作製時の温湿度条件の影響をより詳細に検討するところから開始した.その結果,ゲル内部の微結晶構造制御による高強度,超潤滑ゲルの創成に有用となる知見を得ることができ,またその過程で階層性,傾斜構造ゲルを簡便な方法で得る手法を構築するための基盤を構築することができた.そのため,本研究課題はおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降は,前年度までに得た知見を踏まえ,階層性,異方性ゲルを複数種製作する.そして,そのトライボロジー特性評価,変形挙動,接触界面における水分流出入挙動の調査を行い,階層性,異方性構造がPVAハイドロゲルの摩擦特性にどのような影響を及ぼすのかについて明らかにするとともに,階層性,異方性構造化によるハイドロゲルのトライボマテリアルとしての高機能化のための基礎学理を構築することを目指す.
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Causes of Carryover |
2021年度は,コロナ禍での学会出張および他研究機関に赴いての研究打ち合わせの機会が減少しており,旅費が想定よりも少なくなっていることにより未使用額が発生している.2022年度は,予定している海外出張旅費が想定より高額になる見込みであり,2021年度未使用分は2022年度予算における旅費の補填に利用する.
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