2022 Fiscal Year Research-status Report
体内埋込み人工腎臓用1自由度制御型磁気浮上遠心ポンプの研究
Project/Area Number |
21K03841
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
張 暁友 日本工業大学, 基幹工学部, 教授 (30431985)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 磁気軸受 / 遠心ポンプ / 人工腎臓 / 電磁アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在日本には約33万人,世界中に約200万人以上の腎臓病患者が血液透析治療を受けている.患者の生活の質を向上させるために,本研究では,磁気浮上の非接触支持による無摩擦・無摩耗の特徴を生かし,コンパクトかつ省エネルギー,1自由度制御型磁気浮上遠心ポンプの開発を目的としている. 本年度では,1自由度制御型磁気軸受を設計して試作した.試作した磁気軸受の寸法は径90mm,高さ120mm,質量は1.51kgであり,ロータの長さは94mm,最大直径はΦ66mm,質量は0.37kgである.ロータの制御および非回転,回転時の振動を評価するため,5本の渦電流変位センサを配置した.設計した磁気軸受のコントローラには積分器および分母1次分子1次のレギュレータが含まれている.また,電磁石の応答性を改善するため, 電流フィードバックループを適用している. 設計したコントロータを1自由度制御型磁気軸受に適用し,1自由度制御による完全非接触浮上を確認できた.制御開始後,ロータがおよそ0.2s以内に安定に浮上でき,その電流も一定範囲内に収まった.また,径方向と傾き方向において,ロータが減衰振動しており,約1.5s後に定常状態となっている.さらに,ロータが浮上した状態で,圧縮空気で回転させ,その後圧縮空気を停止して測定した,約2500rpmにおいての径方向の振動の両振幅は0.177mmとなり,傾き方向は0.414度となった. また,インペラを回転させるためのモータの構造と駆動原理を検討して,磁場解析を行い,コイルと磁石の寸法を探索してモータを設計した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では,1自由度制御型磁気軸受を設計して試作し,そのコントローラを設計した.また,コントロータを適用し,1自由度制御による完全非接触浮上を確認できた.さらに,磁場解析を行い,コイルと磁石の寸法を探索してモータを設計した. そこで,本年度の研究開発はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,設計したモータを試作して1自由度制御型磁気軸受にモータ機構を組み込み,モータの回転性能,回転数と各自由度方向の振動振幅の関係,モータの回転減衰などを検討する. また,インペラの解析と設計をし,1自由度制御型磁気浮上遠心ポンプを試作する.開発した遠心ポンプを用いて血液分離実験を行い,人工腎臓への応用可能性を検討する.
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Causes of Carryover |
研究に必要な部品などをほぼ計画とおりに導入した.令和4年度残予算と令和5年度請求予算を合わせて,次年度では,部品購入,旅費,人件費などに使用する予定である.
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