2021 Fiscal Year Research-status Report
電界撹拌技術による感染症検査へ適応可能な迅速酵素結合免疫吸着システムの構築
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21K03845
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Research Institution | Akita Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
中村 竜太 秋田県産業技術センター, 先進プロセス開発部, 主任研究員 (00634213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤上 陽一 秋田県産業技術センター, 企画事業部, 専門員 (00373217)
大久保 義真 秋田県産業技術センター, 先進プロセス開発部, 研究員 (30826532)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電界撹拌技術 / 電界 / 撹拌 / 酵素結合免疫吸着測定法 / 抗体検査 / ELISA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、電界撹拌技術を導入可能なプレート材の検討を行った。 現状ELISA法において、一般的に用いられている96ウエルプレート(主にポリスチレン製)はこのままだと電界撹拌が行えない。そこで、電界撹拌に最適なプレート材の検討を行なった。検討した材料としては、従来96ウエルプレート、市販のポリスチレン(以下PS)プレート(PSプレート)、スライドガラスプレートの3種類とした。PSプレート、ガラスプレートはそれぞれ撥水性テープ、撥水性印刷によってドーム型の液滴を形成させた。 それら3種のプレートを用いて、バイオ・ラッド製ELISA イムノExplorerキットによるELISA評価を行なった。液滴を滴下する底面積はすべてφ4mmとした。ELISA法は通常50から100μLの液量を用いるが、本実験では20μLとした。結果として、静置法で比べると、吸光度はガラス=96ウエルプレート>PSプレートとなった。ただ、微量の条件下では、壁面への付着によって96ウエルにおいてばらつきがかなり大きく、今回の条件では、吸光度のばらつきの少ないガラス製プレートが最適であることを確認した。 次に、ガラスプレートにおいて、液滴の底面積と吸光度の関係について検討した。結果として、底面積が大きくなれば吸光度も大きくなる相関関係があることを確認した。また底面積が大きくなるにつればらつきも大きくなることがわかった。さらに、電界撹拌を導入することにより、吸光度は静置と比較して約1.2から1.5倍向上することを確認した。 次に、ELISA法の発色工程に着目し、プレート材料の比較を行った。材料として、従来96ウエルプレートはポリスチレン、プレート形状のガラスを用いて、吸光度と時間の関係を検討した。発色工程において、吸光度は時間に比例して高くなり、ガラスプレートが96Wellより約3倍発色が速いことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度と来年度で、①プラスチック系やガラス系等の各種材料とその表面粗さ、また疎水性、親水性等の表面処理方法における抗原や抗体等のタンパク質と吸着、定着性、固相化のメカニズムの解明をマクロ的・ミクロ的観察・測定を用いて行う。②電界撹拌技術を適応させるためのELISAプレート形状とその材質とその表面粗さや表面処理の最適化を行う。③電界撹拌させた時の液滴挙動の解明し、高効率な撹拌挙動の検討を行う計画である。 本年度は、主に②の電界撹拌技術を適応させるためのELISAプレート形状とその材質についての最適化を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、今年度最適化検討したガラスプレートを用いて、抗原や抗体等のタンパク質と吸着、定着性、固相化のメカニズムの解明をマクロ的・ミクロ的観察・測定によって検討する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、予算のうち旅費を使用しなかったためである。来年度は対外発表や技術調査のために有意義に使用していきたい。
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