2022 Fiscal Year Research-status Report
対向噴流のよどみ点領域における複雑流れが高ペクレ数物質混合に及ぼす影響について
Project/Area Number |
21K03850
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
角田 博之 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10207433)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 乱流 / 噴流 / 対向噴流 / よどみ点 / 乱流界面 / パッシブスカラ / PLIF |
Outline of Annual Research Achievements |
噴流が一様流に対向衝突する流れ(対向噴流)は下流域によどみ点が存在し,またその付近が乱流(噴流)と非乱流(一様流)の界面になるという興味深い物理的特徴をもつ.よどみ点流れを含む流れの幾何的構造や乱流界面は運動量や物質の乱流輸送に大きな影響を与えることが知られている.そこで,本研究では,2種類の蛍光物質の濃度場と速度場を同時計測できる2色PLIF/PIVシステムを開発することで,流れの幾何構造の識別と物質境界の同時検出を行うことを目指す.これにより,物質境界と乱流/非乱流界面との関係を調べ,高ペクレ数スカラ物質の混合過程に及ぼす流れの幾何構造の影響を明らかにすることを研究最終目的とする. 上記を踏まえ,研究初年度には,まず2種類の蛍光染料の選択を行った.そして,新規購入した赤色レーザー(波長638nm)と現有の緑色レーザー(波長532nm)の2種類のレーザーを用いて,予備実験として染料濃度と蛍光強度との関係を調べ,2色PLIFへの適用の目途を得た.第2年度の研究では,静止水中に噴出される噴流場の乱流/非乱流界面を2色PLIFで調べることを計画していた.周囲流体と噴流にそれぞれ異なる蛍光色を発する蛍光染料を混入することで,2色PLIFを用いて噴流の乱流/非乱流界面のデータを取得する予定であった.しかし,予期しない緑色レーザの故障のために,データ取得までには至らなかった.最終年度の研究で対応策を検討し,噴流場の乱流/非乱流界面のデータを得て,研究目的の達成を目指す.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度の研究で2種類の蛍光染料を選択し,それらの染料濃度と蛍光強度との関係を得たことから,2色PLIFシステムの構築準備が整った.システムの適用性を見るために,静止した水の中に噴出される円形噴流場の実験準備にとりかかった.周囲流体と噴流に異なる蛍光染料を混入し,緑色と赤色の2種類のレーザを照射して,蛍光波長帯の違いから,水中に拡散する乱流噴流の界面を瞬時検出することを目指した.最終的にPIV法による瞬時速度ベクトルの測定も視野に入れていることから,緑色レーザ光には現有設備で,購入後10年程度経過したパルス発光YAGレーザを使用し,赤色レーザには前年度に購入した連続発光レーザを用いた. しかしながら,実験準備期間中にパルス発光レーザ光が全く発光しないという予期せぬ故障が発生した.しかたなく,購入業者に修理を依頼したところ,海外製のため修理見積りに時間がかかり,結局,年度末になって修理不可という連絡があった.この予期せぬ故障のため,「今後の研究の推進方策」で説明する通り,研究計画変更を余儀なくされた.赤色レーザは使用可能であったので,修理期間中に本研究成果を考察する上で比較対象となる噴流場の可視化実験を行った.噴流が壁面に衝突する流れについて,壁面衝突後の噴流の周囲流体中への拡散状況を可視化し,その結果を学術講演会で発表した. 以上のように,予期せぬレーザ光源の故障のために,第2年度に予定した予備実験の遂行ができなかったことから,進捗状況は④の「遅れている」という判断をした.
|
Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」で説明した通り,実験での使用を予定していた現有設備であるパルス発光緑色YAGレーザの予期せぬ故障があり,修理も不可能という事態となった.この状況から,初期の計画を変更して最終年度の研究を進めるための対応策を検討した.緑色レーザには現有設備である連続発光のYAGレーザを使用し,赤色レーザと併せて用いることで,2色PLIFシステムを構築することに変更した.パルス発光ではないため,PIVで瞬時速度を計測する際には誤差が大きくなることが予想されるが,2色の蛍光界面(乱流/非乱流界面)を瞬時で捉えることは可能である. 第2年度に予定していた静止流体中の噴流場を調べる予備実験は省略し,初期研究計画の目的である対向噴流場の乱流/非乱流界面を検出することを最終年度に目指すことにした.噴流速度が速すぎる時,連続発光レーザを用いたPIVによる速度ベクトル検出は困難で誤差も大きくなるので,噴流速度を遅くして,即ち,噴流のノズル出口速度と対向一様流の速度の比(速度比)が小さい場合に限定して,対向噴流場の乱流界面検出と瞬時速度ベクトルの抽出を同時に行うこととした. 年度内に実験を終え,得られた成果をまとめて,最終年度の翌年に講演発表するとともに,学会誌に論文投稿することを目指す.
|
Research Products
(1 results)