2022 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the stability of ultra fine bubble by use of radioactive isotopes as probe
Project/Area Number |
21K03854
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷垣 実 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (90314294)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ウルトラファインバブル / 摂動角相関 / 不安定核 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は原子炉運転期間と試料作製のタイミング等の問題でキセノンガスのウルトラファインバブルの内部圧力測定と寿命測定の実施が行えなかった。しかし、酸素のウルトラファインバブル水にインジウム111をプローブ核として導入し、pH=7~8と10.5付近に調整した試料について摂動角相関法によるスピン緩和の測定を行った。インジウム111はpH=1~2.5の塩化インジウム塩酸溶液として供給されるため、酸素のウルトラファインバブル水に滴下後pH調整をおこなって測定をすることになる。pH調整には従来の水酸化ナトリウムではなく炭酸ナトリウムを用いたことでpH7~8付近の調整が容易になった。比較対象としてウルトラファインバブルを含まない水についてもpHを同様に調整して測定した。水の場合のスピン緩和スペクトルは20 ns付近で見られる落ち込みと40 ns程度以降から続く平坦な形状なっているが、これはインジウムの水和イオンの対称性がpHに依存することやその回転運動などを反映したためと理解されているが、ウルトラファインバブルでも同様の形状でありながら20 ns付近の落ち込みがほぼ0まで落ち込み、ウルトラファインバブルを含まない水の場合と明らかな差が出ることがわかった。これはウルトラファインバブルが周囲の水和イオンの構成に影響を与えていることを強く示唆する結果であり、ウルトラファインバブルの界面の特性や安定性に関する重要な情報である。また、ウルトラファインバブルの周囲との相互作用や安定性に関する新たな知見が得られた。また摂動角相関測定に必要な計測系の整備も進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原子炉の運転期間が短かったため試料作製のタイミングの問題等でキセノンのウルトラファインバブル水での摂動角相関測定による研究は進まなかったものの、その代替としてインジウム111での摂動角相関測定を通じたウルトラファインバブルの界面や安定性に関する新たなデータが得られており、目的とするウルトラファインバブルの特性理解に十分な成果が上がったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は原子炉のマシンタイムが通常と同じであることから、当初計画のキセノンのウルトラファインバブルの内部圧力や寿命についての測定に取り組む。また、インジウム111のスピン緩和測定は当初の研究計画には含まれていなかったものの、ウルトラファインバブルの安定性や界面の特性、周囲との相互作用の研究の上で非常に重要な成果である。これは原子炉の運転に関係なく摂動角相関装置の利用が可能であれば測定が可能であることから、今年度はより詳細なpH依存性の評価を行う計画である。
|
Causes of Carryover |
原子炉の運転期間が短かったことなどからキセノンガスのウルトラファインバブル試料を行なった研究を行えず、その結果試料作製や調製等に要する費用が掛からなかったため。令和5年度は原子炉の運転期間が通常通りのためこの未実施分も実施する計画である。
|