2023 Fiscal Year Annual Research Report
Bifurcation structure and collective motions of a self-propelling droplet driven by surfactant
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21K03855
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 正敏 京都大学, 理学研究科, 講師 (40403919)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自己駆動液滴 / アクティブマター / エマルジョン / マイクロ流体デバイス / 細胞運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自己駆動して遊泳運動する液滴が示す直進運動が湾曲運動へと転化するメカニズムの解明を目指している。本年度は、複数の液滴によるクラスターが液滴サイズ依存的に運動様相を変化させる性質について実験的研究を進めた。また、相似の流れが観察される細胞について直進運動など運動モードを測定する実験を行い、その統計則を解析した。
複数液滴の実験ではインジェクターを用いて大きさ制御を行いつつ液滴をローディングし、液滴サイズと運動様相との関連を調べた。相図から液滴サイズの増大に伴い互いにクラスターを形成して回転運動を示す事が分かった。このクラスターの形成について、液滴の運動モード転移の観点で論文を作成中である。一方、細胞運動についてオオアメーバの形状と並進運動を顕微観察し、両者の間の統計則を検討した。その結果、楕円変形と三角形変形が並進運動の特に運動方向を概ね制御すると共に、楕円変形がある閾値を超えると一方向性の運動へと分岐する事が示された。この分岐は振動界面上の液滴が見せる並進運動への分岐と同じ数理的構造を持っている事が明らかになった。生物と非生物にまたがる普遍的な数理構造が得られたことと、オオアメーバの運動様相を数式によって高い精度で記述できたことが大きな進展であったと言える。この結果をまとめて論文として投稿した。
研究期間全体としては、単体液滴の運動モード分岐に関して世界に先駆けて実験と数理モデルの双方から解明した。更に、遊泳微生物やアメーバ運動など生物の運動について、これまでに無いユニークなアプローチと、液滴など無生物の自己駆動運動との共通性から解明した。
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