2021 Fiscal Year Research-status Report
熱音響自励振動における管の曲率とスタック挿入位置の最適化による進行波成分の増幅
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21K03863
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
清水 大 福井工業大学, 工学部, 教授 (40448048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 信正 大阪大学, 工学研究科, 招へい教授 (20116049)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熱音響自励振動 / 音響インピーダンス / 曲率 / 進行波 / 反射波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,管の曲率とスタックの挿入位置に着目し,より多くの進行波成分を含む熱音響自励振動を発生させる新しい方法を明らかにする.令和3年度は,先ず,これまで構築してきた曲率半径の大きい曲管で構成される進行波型熱音響エンジンを基本として,より長い直管部を有する実験装置の設計・構築を進めた.スタック挿入位置の変更は,スタックを含むエンジン部の接続位置を直管部にて変更することにより行うが,従来の装置は共鳴器による自励振動の増幅効果を明らかにする目的で構築を進めてきたことから直管部が短く,エンジン部の接続可能な位置が限られていた.そこで,ステンレス直管を新たに設計・製作し,より長い直管部を有する全長の長い実験装置の構築を進めた.これと並行して,出力のより大きいエンジン部の設計・製作も行った.高出力化は,高温熱交換器に用いるカートリッジヒーターの高出力化により簡易的に行った.これまでのところ,曲率半径の大きい曲管で構成されるループ管内に発生する熱音響自励振動は,全長やエンジン部の出力によらず,その振幅がエンジン部の接続位置に依存しないことを実験により明らかにした.また,基本振動の1/4波長に渡る様々な測定位置における振幅の比較より,管の曲率半径が大きい場合,自励振動に含まれる定在波成分が少ないことも分かった.これら実験と並行し,次年度以降の実験に備え,従来の装置と比べて管の曲率半径が小さい曲管の設計・製作を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置の設計・構築に加え,従来の装置および,新たに構築した全長の長い装置の両装置において,新たに製作したエンジン部を用いて,熱音響自励振動の発生実験を実施した.実験では,エンジン部を直管部の様々な位置に接続し,発生する自励振動の超過圧を複数の圧力センサにより測定した.発生する自励振動の振幅は,新旧どちらの装置においてもエンジン部の接続位置によらず,それぞれ概ね一定となることが分かった.したがって,管の曲率半径が大きい場合,エンジン接続位置への振幅の依存性は,ループ管の全長によらず低く抑えられることが分かった.一方,振幅の大きさそのものを比較すると,従来の装置に比べ全長の長い新しい装置では,全体的に振幅がむしろ大きくなったことから,曲管同士の距離も自励振動の振幅に影響を与えることが明らかになった.また,出力の低い旧エンジン部を用いた従来の装置における実験結果との比較から,管の曲率半径が大きい場合,エンジン接続位置への振幅の依存性は,エンジン部の出力によらず低く抑えられることも分かった.これまでのところ,装置の設計・製作はおおむね予定通りであり,曲率半径の小さい曲管の設計・製作も完了している.全長を合わせるために必要となる新たな直管の製作が未完であるが,既に設計は完了しており,特に問題はない.実験の進捗も含め,研究は概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
管の曲率が異なる3つのループ管を用いた進行波型熱音響自励振の発生実験を実施し,管の曲率が自励振動に及ぼす影響を明らかにする.これにより,管の曲率とスタック挿入位置の相対的な関係を最適化し,更なる進行波成分の増大が可能であることを明らかにする.従来の研究では,入手の容易さから,管の径と比較して曲率半径が極めて小さい 90°エルボ管を用いた実験結果に基づいて議論が進められ,管の曲率が自励振動に与える影響は議論されてこなかった.曲管では渦の発生等により,力学的エネルギーを損失することから,自励振動の増幅や進行波成分の増大に曲管が寄与することは考え難い.しかし,熱音響自励振動の場合,そもそも音響インピーダンスは一様でなく,曲管での損失に起因する反射波の位相や振幅によっては,スタックにおける媒質の変位や超過圧と流速の位相差が変化することが予想され,自励振動の増幅や進行波成分の増大が可能となることが期待される.次年度は,曲率半径のより小さい曲がり管を用いて実験装置を構築し,今年度新たに製作した出力のより高いエンジン部を用いて,熱音響自励振動の発生実験を行う.
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Causes of Carryover |
既存の曲管を用いた実験の実施を優先し,新たに設計・製作した曲率半径の異なる曲管を用いた実験で必要となる直管4本の設計・製作を次年度に行うこととしたため,次年度使用額が生じた.研究計画に大きな変更はなく,前年度の研究費も含め当初の予定通り計画を進めていく.
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Research Products
(2 results)