2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K03866
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
矢口 久雄 群馬工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (20568521)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 微小液滴 / 気液界面 / 蒸発・凝縮 / 分子動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,微小液滴の気液界面を対象として,気液間の質量・運動量・エネルギー輸送に関わる重要なパラメータである凝縮係数に及ぼす界面曲率の影響ならびに不純物による影響について,独自に開発した分子動力学シミュレーションプログラムを用いて定量的に明らかにする.従来は考慮されていなかったこれらの影響を定式化することで,微小液滴の成長を記述する既存モデルに改良を施し,水蒸気タービンやインクジェットプリンタ,液滴衝突を利用した半導体洗浄における流体制御などの工学的応用を始めとして,いま深刻な社会問題となっている新型コロナウイルス感染拡大における飛沫・エアロゾル伝播,集中豪雨・局地的大雨などのメソスケール顕著現象の予測精度向上に貢献することを目的とする.初年度にあたる本年度については研究計画にしたがって以下の成果が得られている:
(1)単原子分子であるアルゴンを対象物質とした分子動力学シミュレーションにおいて,気液界面の圧力分布を力学的定義に基づいて正確に求めるための統計処理を実装したプログラムを並列化し,大幅な高速化を達成した. (2)上記で開発したプログラムを用いることで分子数を増やした系の計算が可能となり,これまで計算負荷が大きいために取り組むことのできなかったサイズのナノ液滴についてシミュレーションが可能となった. (3)温度85, 90, 95, 100 Kのアルゴンのナノ液滴とその蒸気の気液平衡系において,液滴半径2~10 nmの範囲においてKelvin効果および表面張力の液滴半径依存性について定量的に明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ初年度の計画どおりに研究を実施できていることに加えて,計画当初から想定していた知見もおおむね順調に得られていると判断されるため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた成果をもとに,次年度以降も当初の研究計画を遅延なく進めるとともに,新たに得られる研究成果を当該研究に資する形で取り入れることで,適宜,研究計画を発展的に修正していく.
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Causes of Carryover |
世界的な半導体不足の影響で,本年度に導入予定であったワークステーションについて年度内での納品が不透明な状況となり,次年度の調達に切り替えて対応することにしたため.
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Research Products
(2 results)