2021 Fiscal Year Research-status Report
機械学習を活用した決定論的応力モデルの構築と流体最適設計への応用
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21K03869
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山田 和豊 岩手大学, 理工学部, 准教授 (00344622)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数値解析 / 非定常効果 / 流体最適設計 / 機械学習 / 決定論的応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
流体設計では様々な性能要求に応えるため高度な技術が要求される.数値流体解析は,解析手法の成熟に伴い様々なソフトウェアが提供されており,積極的に流体設計に応用されるとともに,欠かせない重要な設計技術のひとつとなっている.また,ターボ機械の本質は非定常性にあることから,近年,計算機性能の進歩と相俟って,非定常流れ場の解析が行われるようになってきている.しかしながら,得られた知見や非定常解析技術それ自体を設計に応用することはできておらず,今日の数値解析を応用した流体設計は定常流れ解析に基づいており,非定常効果を取り入れた流体設計は実現されていない.さらに最近では,流体設計に最適化手法を導入した流体最適設計も行われるようになってきた.しかし,前述のとおり,流体解析手法は定常流れ計算に基づいており,真の最適解を見出すことは原理的に不可能であると考えられる.非定常性を考慮した流体設計技術の開発が実現されることで,設計空間の拡大や信頼性の向上,さらには新しい概念の流体機械の開発など,流体設計の革新へと繋がることが期待される.本研究では,真の最適設計を実現するために,機械学習を活用した決定論的応力モデルの構築し,非定常効果を考慮した流体設計技術を開発する.はじめに,決定論的応力により非定常効果をモデル化するにあたり,非定常効果が顕著であると考えられる羽根付きディフューザを有する遷音速遠心圧縮機を解析対象に非定常RANS計算を実施した.解析結果から,決定論的応力の評価を実施するとともに,非定常効果に対応する非定常流動現象の解明を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,非定常効果をモデル化するにあたり,非定常効果の指標として決定論的応力を用いることで非定常効果の定量化を実施した.決定論的応力は非定常解析の結果から後処理により評価することが可能である.まずは,非定常効果の評価を行う解析対象の選定を実施した.過去の研究から,高負荷圧縮機ほど,動静翼干渉による非定常性の影響が強く,性能予測が難しいことが知られる.そこで,非定常効果が顕著であると考えられる羽根付きディフューザを有する遷音速遠心圧縮機を解析対象とした.供試圧縮機を対象に,設計流量点について,圧縮機全周の非定常RANS解析を実施した.また,従来設計で採用されるMixing plane法を用いた一流路定常RANS解析についてもあわせて実施した.定常RANS解析結果および非定常RANS解析結果を比較することにより,非定常効果による性能差を確認した.その結果,インペラとディフューザのポテンシャル干渉により,インペラ後縁側の漏れ流れ場に非定常性が引き起こされることが示された.翼端漏れ流れ場の非定常性により,付加的なエントロピー生成が生じており,定常解析結果に比べて非定常解析結果のインペラ性能の低下が確認された.また,非定常RANS解析結果から評価された決定論的応力の分布は,付加的なエントロピー生成に対応することが明らかとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
決定論的応力のモデル化を実施する前に,前年度までに非定常解析結果に基づいて得られた決定論的応力を定常計算に導入した計算を実施することで,非定常計算の時間平均解が再現されることの検証を実施する.モデル化と関連して,決定論的応力を導入した定常計算の方法はいくつか考えられるため,それぞれの方法で解析を行い,予測精度を評価する.さらに,前年度のRANS解析で得られた流れ場の情報を基に,機械学習を用いて決定論的応力を予測するモデルを構築する.局所の流れ場等の情報に加え,前年度検討した非定常効果に関連する因子を入力として機械学習を行い,モデルを構築する.また,別なアプローチとして,決定論的応力を直接予測するのではなく,乱流モデルと同様に渦粘性近似により輸送方程式を解く非定常効果のモデル化を検討する.これにより,決定論的応力の予測精度の向上が期待される.この場合,輸送方程式中に現れる生成項を機械学習によりモデル化する.
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Research Products
(3 results)