2023 Fiscal Year Annual Research Report
Scaling law and a new LES wall-model for adverse-pressure-gradient turbulent boundary layer flow
Project/Area Number |
21K03876
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
関本 敦 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (00814485)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 乱流境界層 / 逆圧力勾配 / スケーリング / ラージ・エディ・シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
逆圧力勾配(流れが遅くなる方向の圧力変化)の下での乱流境界層を直接数値シミュレーション(DNS)を用いて解析し、新しい乱流統計のスケーリング則を提案した。幅広い圧力勾配の下で成立するスケーリング則に基づいて乱流モデルを開発することは、航空機やタービン翼の性能向上や曲面や角のある複雑な形状の数値シミュレーションの高精度化に貢献するものである。 従来から、乱流境界層のスケーリングには主流速度の99%厚さがよく使われていたが、強い逆圧力勾配の下ではこれが適切でないことがわかっている。本研究では、平均流から求まるせん断(速度勾配)に基づく新しい境界層厚さを提案し、この厚さを使って乱流統計を整理した。その結果、ゼロ圧力勾配乱流境界層の乱流統計量と壁から剥離する直前の乱流境界層の統計量とがよく一致することを、DNSデータを用いて検証した。さらに、エネルギー散逸率や渦度エンストロフィーなどの小スケール運動についても、局所平衡仮説に基づいてスケーリング則を導き、DNSデータで検証した。 今年度はさらに、側壁の影響による二次流れ(主流に対して直角方向の流れ)の影響とその制御についても研究を進めた。遷移領域(流れが安定から乱流に変わる領域)でのダクト内の乱流における平均二次流れは、非線形支配方程式の不変解の分岐構造と密接な関係があることがわかっている。本研究では、深層強化学習を用いて単純な加熱によって二次流れのパターンを制御できる可能性を示した。 乱流現象は非常に複雑で、3次元的な速度変動が時々刻々と変化するため難しい問題であり,本研究は、乱流制御問題を深層機械学習の枠組みで大きく進展させる可能性を示しており、今後も研究と社会実装が加速的に進むものと期待できる。
|