2022 Fiscal Year Research-status Report
排熱ハ―べスティング過冷却型潜熱蓄熱マイクロカプセルスラリーの熱流動特性の解明
Project/Area Number |
21K03892
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
赤松 正人 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40315320)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 蓄熱マイクロカプセル / エリスリトール / 過冷却 / 放熱特性 / 有効粘度特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Makuta et al.(Honda, A. et al., Fabrication of Silica-Covered Erythritol Microcapsules for Thermal Storage, Experimental Mechanics, 21, 150 (2021).)は,シリカ膜に覆われたエリスリトール蓄熱マイクロカプセルを開発した.本研究では,幕田らの研究グループが開発したエリスリトール蓄熱マイクロカプセルをシリコーンオイル(KF-96-100cs, 信越化学工業)に分散させた分散液の放熱特性と有効粘度特性について実験的に検討した. 放熱特性に関しては,KF-96-100csシリコーンオイルに分散させたエリスリトール蓄熱マイクロカプセル分散液の過冷却解除による放熱に基づいた分散液の温度上昇が水熱量計を用いた実験において観察された.本測定(質量分率15%,過冷却解除条件 スターラー回転数900 rpm)において見積もられたコア材であるエリスリトールの放熱量は,130℃で10分間蓄熱したとき124 J/g,130℃で20分間蓄熱したとき128 J/gであることがわかった. 有効粘度特性に関しては,質量分率15%のエリスリトール蓄熱マイクロカプセル分散液(分散媒 KF-96-100cs, 信越化学工業)の有効粘度を音叉振動式粘度計により測定した結果,室温において161.2 mPa・sであることがわかった. 一方,質量分率15%のエリスリトール蓄熱マイクロカプセル分散液(分散媒 KF-96-100cs, 信越化学工業)の有効粘度を回転粘度計により測定した結果,室温において214.1 mPa・sであることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放熱特性に関しては,KF-96-100csシリコーンオイルに分散させたエリスリトール蓄熱マイクロカプセル分散液の過冷却解除による放熱に基づいた分散液の温度上昇が水熱量計を用いた実験において観察されたこと.また,本測定(質量分率15%,過冷却解除条件 スターラー回転数 900 rpm)において見積もられたコア材であるエリスリトールの放熱量が,130℃で10分間蓄熱したとき124 J/g,130℃で20分間蓄熱したとき128 J/gであることがわかったこと.このように,独自に開発した放熱量測定システムにより放熱量が定量的に示されたことがその理由である. 有効粘度特性に関しては,質量分率15%のエリスリトール蓄熱マイクロカプセル分散液の有効粘度を音叉振動式粘度計と回転粘度計を用いて測定した結果,室温において161.2 mPa・sと214.1 mPa・sであることがわかったこと.このように,測定方法の異なる粘度計を用いて有効粘度を測定した結果,ある測定精度の範囲内で定量的に有効粘度が示されたことがその理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
水熱量計を用いて,KF-96-100csシリコーンオイルに分散されたエリスリトール蓄熱マイクロカプセルの放熱特性を定量的に解明するために,質量分率の差異による蓄熱量,放熱量および熱損失量の時間依存性を定量的に把握すること,溶媒の差異による蓄熱量,放熱量および熱損失量の時間依存性を定量的に把握すること,そして,過冷却解除の差異による蓄熱量,放熱量および熱損失量の時間依存性を定量的に把握すること,これらが今後の研究の推進方策である. 音叉振動式粘度計および回転粘度計を用いて,シリコーンオイルに分散されたエリスリトール蓄熱マイクロカプセルの有効粘度特性を定量的に解明するために,質量分率の差異による粘度の温度依存性を定量的に把握すること,溶媒の差異による粘度の温度依存性を定量的に把握すること,過冷却解除の差異による粘度の温度依存性を定量的に把握すること,これらが今後の研究の推進方策である. 以上の放熱特性と有効粘度特性の実験より,質量分率に関しての最適条件,溶媒に関しての最適条件,過冷却解除に関しての最適条件を見出す. また,低温未利用熱エネルギーの回収と有効利用により温室効果ガスの排出を大幅に削減し,本スラリーを熱供給網の熱輸送媒体とする新しい熱インフラともいえる「熱のスマートグリッド」の実現を目指す.
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