2021 Fiscal Year Research-status Report
Clarificaion of the relation between wetting front propagation velocity and pool boiling CHF
Project/Area Number |
21K03895
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小泉 安郎 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 客員研究員 (20215156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 富雄 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20314362)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 沸騰熱伝達 / 限界熱流束 / 濡れ進展速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
核沸騰による除熱は、きわめて高い熱伝達率を示す高効率の冷却手法であり、その応用が様々な分野で期待されている。ただし、限界熱流束(CHF)を超過すると、沸騰様式が膜沸騰に移行して、熱伝達率が大きく低下する。このため、より高いCHF値を示す高性能伝熱面の開発が、世界各所で精力的に行われている。本研究では、伝熱面の表面性状によってCHF値が大きく変化する主要因と考えられる因子として、各種伝熱面の濡れ進展速度を計測し、別途計測するプール沸騰CHFとの関係を調べる。得られた結果より、濡れ進展速度を主要変数とするCHF相関式を開発することを目的としている。本研究により、伝熱実験をせずとも、各種伝熱面のCHFを予測することが可能となるため、CHF向上化方策の方向性が明確となり、より高いCHFを示す高性能伝熱面の開発を、効率的に行うことが可能となると期待できる。本研究の初年度である令和3年度には、様々な伝熱面に対して、濡れ進展速度とCHFの計測を可能とするため、板状の伝熱面を設置可能な試験容器を製作するとともに、その下部に高強度のレーザー光を照射することで、沸騰開始から限界熱流束に至るまでの範囲で、沸騰曲線を得るための準備を整えた。また、通常の伝熱面を用いてプール沸騰実験を実施することにより、広く知られている核沸騰熱伝達相関式とよく一致する結果が得られることを確認した。これより、本実験装置により、十分に高精度の実験を実施可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、様々な表面性状を有する伝熱面を用いてプール沸騰実験を実施する必要があるため、伝熱面を容易に交換可能な沸騰容器を準備することが、有効な実験データを得る上での重要なステップとなる。このため、沸騰容器の底部に板状の伝熱面を配置するとともに、その底部にレーザー光を入射することで、様々な伝熱面を用いて沸騰曲線を得るための準備を整えた。また、通常伝熱面を用いてプール沸騰実験を実施するとともに、実験結果が広く受け入れられている相関式とよく一致することを確認した。これより、実験装置及び実験方法の妥当性を確認できた。したがって、令和4年度以降に、伝熱面の濡れ進展速度とプール沸騰熱伝達の関係について、系統的な実験データを取得することが可能となった。これより、本研究課題は、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の作業により、様々な表面性状を有する伝熱面に対して、濡れ進展速度及び限界熱流束を含む核沸騰熱伝達特性を計測することが可能となった。このため、当初計画通り、今後は、濡れ進展速度と限界熱流束に関する実験データを蓄積する。また、本研究計画を策定する際の理論的背景として、濡れ進展速度と限界熱流束の間に一次の比例関係が存在するか否かを確認し、濡れ進展速度の概念に基づく機構論的限界熱流束相関式を開発する。また、限界熱流束状態の近傍で、三相界線の挙動をIRカメラを用いて観察し、濡れ進展速度の相違により、限界熱流束条件近くでの三相界線の挙動がどのように変化するのかを明らかにする。
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