2022 Fiscal Year Research-status Report
格子セル型センサーを用いた人体のふく射放熱計測手法の確立
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21K03904
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
熊野 智之 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80435437)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ふく射熱流束計 / 熱電堆 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究により、本研究課題で提案するふく射センサーを開発するためには、まず銅とコンスタンタンから成る薄板状の熱電堆を製作することが必要であり、それが従来の手法では達成できていないことが判明した。そこで、今年度はセンサー開発の核となる熱電堆の構造および製造方法について検討を行った。具体的には(1)ガラス基板上に厚み50μmの銅とコンスタンタン箔(短冊)を横並びで交互に張り合わせその隙間を銅でスパッタリングすることで接続させる、(2)レーザーにより不要な部分を除去し銅とコンスタンタンの接触面が直列につながるようにパターニングを行う、(3)表面全体にAlの蒸着面(反射面)と黒体塗料面(吸収面)が交互に形成された絶縁テープを銅-コンスタンタン接触面を交互に覆うようにして貼り付ける、(4)電極を取り付ける、といった内容である。この方法で熱電堆が製作できるかどうかを検証するため、まず25mm角のガラス基板上に一対の銅-コンスタンタン箔を貼り付け、スパッタリングを行った後に起電力を測定することを試みた。しかし、接合面を拡大して観察すると、箔を機械的に切断しない場合でも20~30μm程度の隙間があり、スパッタリングのみでは接触面を形成することが困難であることが判明した。そこで、端面同士をまずしっかりと接触させるために、箔を予め圧着させることが必要であることが判明した。このように、センサー用の熱電堆を実際に実現するための技術的な課題が浮き彫りとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度も昨年度同様にコロナ禍の影響により研究体制が充分整わなかったことや半導体不足の影響もあり装置を選定して購入することができなかったこと、当初は想定していなかった技術的な課題が生じたことや研究代表者自身が本研究課題に専念して取り組むことができない状況であったことから進捗が遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
兵庫県立工業技術センター、大阪大学産業科学研究所と共同研究を締結し、それらの機関の設備を積極的に利用してセンサーの試作に取り組む。熱電堆の構造や製作方法などがまだ固まっていない状況であるため、引き続き様々な方法を検討し、早急にこの問題を解決する。場合によっては、研究期間を延長することを検討する。
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Causes of Carryover |
当初は想定していなかった技術的な課題が生じ熱電堆の構造や製作方法などがまだ固まっていない状況であり、レーザー加工機など大型の設備については本当にその装置でよいのかが確定していないため、次年度に繰り越して使用することとした。したがって、令和5年度は、外部機関の設備を利用して熱電堆部分の試作を繰り返し、ある程度内容が固まった段階で微細加工機やサンプルの分析機器を速やかに選定し、購入する。
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