2021 Fiscal Year Research-status Report
自発的な液供給機能を有するブリージング現象のメカニズム解明と限界熱流束の向上
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21K03918
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
結城 和久 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 教授 (90302182)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 沸騰伝熱 / 限界熱流束 / ポーラス体 / ブリージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、沸騰浸漬冷却技術による省エネルギー社会への貢献を目的とし、申請者が世界で初めて確認した沸騰時に発生するブリージング現象(自発的な液供給・蒸気排出機能による沸騰冷却促進)のメカニズムを可視化実験とCFDシミュレーションにより明らかにする。次いで、ブリージング現象を完全に制御してそのポテンシャルを最大限に引き出し、学術的および社会的に高い波及効果を得るため、水を作動液とする場合で10 MW/m2、NOVECなどの低沸点冷媒の場合で2 MW/m2の未到の限界熱流束を実証することを目的とする。 研究初年度となる令和3年度では、ブリージング現象の詳細メカニズムを解明するため、ポーラス体とグルーブを含む縦断面カットモデルを用いた可視化実験およびCFDシミュレーションを開始した。どちらも本実験を実施するための様々な試験を実施し、現在、双方ともに本試験を開始している。特に可視化実験では、高速度カメラによりポーラス内部の液供給と蒸気排出特性について新たな知見が得られていることに加え、CFDシミュレーションではMARS(Multi-interface Advection and Reconstruction Solver)を用いた解析を実施し、ブリージングに伴う液供給の一端を確認することに成功した。引き続き、可視化実験では得られないブリージング発現時の内部圧力・液体および蒸気速度について詳細に評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた可視化実験、数値シミュレーションともにシェイクダウン試験が順調に終了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度ならびにこれから得られる知見を総括し、ブリージングのポテンシャルを最大限に引き出し、パワー半導体の水冷却で限界熱流束10 MW/m2、スパコンへの適用も意識しNOVECなどの絶縁性液体の場合で2 MW/m2の未踏の限界熱流束を実証する。メカニズムの予測から検討している制御手法として、1.グルーブ流路の中央閉塞によるブリージング現象の対称・規則化、2.グルーブ流路拡大による蒸気排出促進、3.グルーブ内ロータス箔施工による熱伝達率向上(冷却面温度低下)、の3点に取り組む。
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Causes of Carryover |
伝熱ブロックとしている銅材の高騰により、次年度のブロック製作のために確保した金額となります。
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