2022 Fiscal Year Research-status Report
自発的な液供給機能を有するブリージング現象のメカニズム解明と限界熱流束の向上
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21K03918
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
結城 和久 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 教授 (90302182)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 沸騰伝熱 / 限界熱流束 / ポーラス体 / ブリージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では省エネ型冷却技術である沸騰浸漬冷却において、ロータス銅をグルーブ加工された伝熱面に接合し、冷却液供給と蒸気排出を分離することで限界熱流束(CHF)の向上を目指すものである。本年度では、昨年度の可視化試験とCFD解析から得られた結果を実験に反映させ、グルーブからの蒸気排出をよりスムースに行えるようグルーブ深さを調整した。具体的には、(A)拡大グルーブ(中央閉塞あり)、(B)拡大グルーブ(中央閉塞なし)、(C)一様深さグルーブの3種類において、グルーブの深さをパラメータとしCHFを評価した。使用したロータス銅はグルーブ(A)と(B)では厚み2.0 mm、気孔径0.53 mm、気孔率51%、グルーブ(C)では厚み2.0 mm、気孔径0.46 mm、気孔率43%である。グルーブ(A)でのCHFはグルーブ深さ2.0 mmのときに 535 W/cm2、深さ3.0 mmのときに558 W/cm2であり、先行研究のCHFに比べ、その差は-3%と+1%という結果となった。それに対し、グルーブ(B)で深さ2.0 mmのCHFは569 W/cm2、深さ3.0 mmのCHFは588 W/cm2であり、グルーブ(A)に比べそれぞれのCHFは増加しており、また、沸騰曲線が低過熱度側へシフトしている。したがって、シミュレーションでも示されたように、冷却液は、ロータス銅の上部からだけでなく、グルーブからも供給されることで、冷却性能が向上していると言える。次に、グルーブ(C)の実験結果では、グルーブ深さ5.0 mmのCHFは 734 W/cm2、深さ3.0 mmのCHFは 711 W/cm2となった。以上より、本実験では、グルーブを深くすることで、高熱流束域においてもグルーブからの蒸気排出が促進され、容器内の液体循環が活性化し、冷却性能が向上したと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に得られたCFDシミュレーションならびに可視化実験の結果を実証試験に反映し、水試験において700W/cm2を超える限界熱流束の向上を達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、沸騰面の最適化を中心に議論してきたが、本技術は沸騰面周辺の流動構造も重要な制御パラメータであるため、今後、流動制御板などを導入し、ブリージングのポテンシャルを最大限に高める予定である。
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Causes of Carryover |
最終年度の消耗品購入のため繰り越した。
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