2021 Fiscal Year Research-status Report
Lamb波を用いた非線形超音波法によるボルト締結体の非破壊検査に関する研究
Project/Area Number |
21K03928
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
福田 誠 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (50507671)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超音波 / 2次高調波 / サイドバンド / 非線形振動 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属などの固体の接触面に大音圧である有限振幅超音波が入射したときに,接触面の非線形振動により2次高調波あるいは分調波などの非線形成分が発生することが見出され,接触型音響非線形性(CAN: Contact Acoustic Non-linearity)という名前で知られるようになった.近年では,閉じた亀裂の検出のような非破壊検査への応用も行われている.また,塑性変形部でも転位や閉じた亀裂が多数存在し,それらが非線形振動したときに高調波が発生することが明らかとなっている.これまでに申請者はボルトの塑性変形やねじ山間のCANによる2次高調波の検出を実験において確認している.しかし,ボルトに直接探触子を取り付けた検討であり,実際の環境ではボルト締結部が構造物の内部に存在するなど直接探触子を取り付けられない場合や,検査員が高所など容易に辿りつけない箇所にある場合が考えられる.そのため,離れた位置から超音波エネルギーをボルト締結部まで送り届け,さらにボルトで生じた2次高調波成分を離れた位置で検出することが課題となる. 令和3年度は,非線形超音波解析が可能な有限要素解析ソフトANSYSを利用して,締結部を想定した非線形超音波の発生と検出のシミュレーションを行った.さらに,2方向からの超音波送波に対して接触面を0°~180°回転させたときの高調波やサイドバンドの発生について検討した。角度により非線形成分の発生量が30dB程度も変わることが分かり,ボルト締結部への超音波の入射角度やボルト-ナットのねじ山の角度との関係を考慮にいれる必要があることが確認できた。 また,高次のラメモードのLamb波を用いた金属平板中の亀裂からの高調波検出実験を行った。亀裂により5dB程度の高調波の増加が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画で,令和3年度に行う予定であった有限要素解析による非線形超音波の発生については実施できたが,モデルの構築や非線形解析による解析時間が増加にしたことにより,圧電振動子の駆動電圧波形や電源インピーダンスの検討には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
有限要素解析については,昨年度実施できなかった圧電振動子の駆動電圧波形や電源インピーダンスの検討を実施する。また,実際に平板をボルト締結させてLamb波を用いた非線形成分の検出実験を実施し,解析結果と実験結果を比較検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,予定していた学会発表が全てオンラインでの開催となり,旅費の使用額が0円であった。次年度使用額は,次年度の実験材料の物品費として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)