2022 Fiscal Year Research-status Report
大移動量を可能とする対向面磁石列配置によるパラメカの高速高精度位置決め装置の開発
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21K03941
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
田中 淑晴 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70455137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原野 智哉 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (20332067)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 磁気歯車 / 位置決め / パラレルメカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気歯車と磁石プレートを組み合わせた非接触動力伝達を行う直動ジョイントの特性把握試験を実施した.ACサーボモータによって磁気歯車を回転させ,磁気歯車の上下に配置した磁石プレートを非接触に直動させる.その直動変位をレーザ変位計にて測定し,サーボモータのトルク,回転角度との比較検討を行った.その結果,予想されていたとおりに,磁気歯車と磁石プレートが非接触であるため剛性および減衰性が悪いことが確認できた.また,磁気歯車と磁石プレートの間に強い非線形性があることも確認できた.実際のパラメカでのジョイント配置を模擬して土台に対して斜めに配置したことによって自重の影響を大きく受けることも確認できた.一方で,磁気歯車と上下配置の磁石プレートの極数が一致するとコギングが大きな影響を及ぼすことが明らかとなったため,対策を検討する必要がある.また,非接触駆動のパラメカの応用として,減速比3の軸方向磁場磁気歯車を用いて低温真空の宇宙環境への適応を検討した.常温大気圧・常温低真空・低温低真空下において最大2.5Nm,最大回転速度2500rpmで動力実験を実施した.トルクが増加すると伝達効率は増加するものの,常温大気圧で最大75%程度の伝達効率を示したが,常温真空では約13%程度低下し,さらに低温真空下では15%程度低下し37%程度まで低下した.真空による磁石の温度上昇が比較的増加するために磁束密度の低下,ベアリングの摩擦トルクの増加などの影響と考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までのところ,磁気歯車と磁石プレートで構成される直動ジョイントの動力伝達時の特性評価を終えている.また,パラメカを構成するため,直動ジョイントを3セット製作済である.さらに,パラメカの性能を評価するために,並進方向と姿勢を測定するため,3個のレーザ変位計を設置するための治具設計と製作を終えている.減速比3および3/4(増速)の場合の,磁気歯車の伝達特性を実験と過渡応答磁場解析の両面から検討を実施しており,減速・増速にかかわらず磁石寸法,磁石個数ならびに中間磁性媒体個数が同じであれば,ほぼ同じ伝達トルクを示すことが明らかになっており,減速と比較して増速では,被駆動側の回転数が増加するため,伝達効率が高くなる結果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,磁気歯車と磁石プレートを組み合わせた直動ジョイントを3セット製作済であるため,パラメカ装置の構築を行い,性能評価試験を実施する予定である.そのために,現時点での課題となっている磁極のかみ合いによるコギングトルクの増大を防ぐ手法の検討をする必要がある.また,磁気歯車と磁石プレートの間の強い非線形性についての補償制御の手法についても検討を行う.応用の検討について,減速比3および3/4では磁気歯車の駆動方式が異なっている.減速比3では中間磁性媒体ディスクは固定で磁石対数2の磁石ディスクが駆動側,磁石対数6の磁石ディスクが被駆動側となっている.一方,減速比3/4では中間磁性媒体ディスクが駆動ディスクとなっており,磁石対数2の磁石ディスクは固定され,磁石対数6の磁石ディスクが被駆動側となっている.これら2つの駆動方式は全く異なる試験機での実験であり,駆動特性が異なる可能性がある.そこで,3より大きい減速比4などの磁気歯車を用いて磁石対数4の磁石ディスクと磁石対数16の磁石ディスク,12個の中間磁性媒体を用いた駆動・被駆動磁石ディスクを入れ替えた減速,増速動力伝達実験などを実施し検証を行う.
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Causes of Carryover |
残額が小額であり使用するに至らなかった.次年度に使用予定である.
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