2023 Fiscal Year Annual Research Report
衝突系に発生する階段状カオス転移現象のメカニズム解明とその工学的応用
Project/Area Number |
21K03942
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
軽部 周 大分工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (70370054)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 階段状カオス転移現象 / バウンシングボール / 非線形現象 / 衝突振動系 / パンタグラフ系 / カオス |
Outline of Annual Research Achievements |
課題2「機械装置における階段状カオス転移現象の確認」について,剛体架線-パンタグラフ系を模擬した実験装置を用い,掃引実験を行った.加振振幅を一定とし,加振振動数を20Hzから42Hzまで増加させたところ,23Hz, 33Hz近傍で振動体の振幅が急増する現象を確認した.特に33Hz以降では非周期性の強い挙動が得られ,振幅もほぼ一定となり,バウンシングボール系に類似した現象が確認できた.一方,23Hzから33Hzの間では振動体の振幅が減少する傾向があるなどバウンシングボール系との差異がみられた.次に,実験装置の同定およびパンタグラフ系の数値計算を行い,実験結果と同様の傾向が得られることを確認した.バウンシングボール系とパンタグラフ系の数学モデルは,同様の衝突モデルのパラメータを変えることで表現できるため,機械系であるパンタグラフ系でもバウンシングボール系同様の転移現象が発生する可能性があることを示唆した. 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 課題1「階段状カオス転移現象の発生メカニズムの解明」について,測定系の改良および分岐点の測定精度の向上を達成した.更に階段状カオス転移現象の発生が,ボールが最大到達高さに達成する頻度と関連することを,実験と数値計算の両面から明らかにした.課題2「機械装置における階段状カオス転移現象の確認」について,パンタグラフ系を模擬した実験装置を作成した.更に,実験装置の同定を行い,装置を再現可能な数値シミュレータを作成した.パンタグラフ系の実験装置および数値計算から階段状の分岐現象の発生が確認できたが,バウンシングボール系に発生する階段状カオス転移現象とは一部異なっていた.この違いは,同じ衝突システム上のパラメータの違いによるものと考えられ,機械装置上にも階段状カオス転移現象が内在している可能性を示すことができた.
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