2022 Fiscal Year Research-status Report
積載物および走行路面の状況に自動的に対応する無人搬送車用防振システムの開発
| Project/Area Number |
21K03943
|
|---|
| Research Institution | Saitama University |
|---|
Principal Investigator |
山本 浩 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20220494)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成川 輝真 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50424205)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
| Keywords | 防振機構 / 空気ばね / ばね定数 / 減衰係数 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
(1)2021年度に設計製作しその基本的特性を明らかにした，円弧溝を有する円板と，それに対向する回転可能な減衰調整円板の組み合わせにより形成されるスリットの長さを調整することにより実現される減衰係数調整機構と，2022年度に新たに構築した基礎に作用する外乱の周波数特性を抽出する計測システムおよび抽出した外乱の周波数特性に応じて応答を最小化するように自動的に減衰係数調整機構を駆動する制御系を統合することにより，外乱の周波数特性に応じて最適な減衰係数に調整し，外乱に対する応答を最小化するシステムを開発し，その特性を明らかにした．
(2)2021年度に設計製作しその基本的特性を明らかにした，支持高さに応じて空気室に設けた給排気弁を開閉することにより空気室内の空気体積を変化させて支持高さを調整する機構を有する空気ばねを用いて，2022年度はそれらを複数用いて用いて物体を支持する２自由度防振システムを構築し，積載物の質量および重心位置の変動に応じて自動的に２つの空気ばねの高さ調整機構を駆動する制御系を統合することにより，積載物特性の変動によらず積載物の高さと姿勢を一定に調整するシステムを開発し，その特性を明らかにした．
(3)2021年度に設計製作した，複数の空気ばねの空気室圧力から，積載物の質量のみならず，重心位置，慣性モーメントといった特性の推定を行うシステムについて，積載物特性の推定精度を防振特性の最適化という観点で十分な水準に向上させることができた．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)研究の根幹をなす，積載物の特性変動に対応する機構を有する空気ばね単体と特性の自動調整のための制御系を統合したシステムの構築は済みその特性を明らかにすることができている．さらに基礎に作用する周期的な外乱に応じて応答を最小化することも実現できている．ただより複雑な特性を有する外乱に対する応答最小化には至っておらず，完璧に計画通りに進展しているとは言い難い状況である．
(2)質量，重心位置，慣性モーメントといった積載物の特性を推定するシステムについては，その手法の提案からプロトタイプの設計製作および検証を行い，振動絶縁の観点で十分な推定精度を実現することにより，推定システムの妥当性を明らかにできている．ただ，現状では特性推定のための振動データ収集のための微小加振が自動化できておらず，完璧に計画通りに進展しているとは言い難い状況である．
(3)積載物の高さと姿勢を一定に調整するシステムを構築することができたが，調整時間を最小にする条件を見出すには至っておらず，完璧に計画通りに進展しているとは言い難い状況である．
|
| Strategy for Future Research Activity |
制御系を含む自動調整機構を有する空気ばね単体については十分な特性を有するものを実現できたので，様々な外乱に対応する応答最小化手法を明らかにするとともに，複数の空気ばねで支持された多自由度防振機構に展開し，その特性を明らかにすることを通して防振機構としての設計手法・設計指針の確立を目指す．
それとともに，積載物特性の推定についても継続して発展させ，より複雑な形状の物体を支持した場合の特性推定手法の確立を目指す．
さらに，走行路面の状況推定とそれに起因する外乱に対応する応答低減についても，空気ばねの状態量から外乱を推定する手法を提案し検証することを通して，提案する手法の有用性を検証する．
そして状態に応じて特性を調整可能な空気ばねと積載物特性および外乱を推定するシステムにより，積載物および走行路面の状況に自動的に対応する防振システムを実現する．
|
| Causes of Carryover |
当初計画に比べ概ね進展しているものの，高額支出に対応する防振機構の設計製作やそれと密接に関連する制御系および測定系の設計製作による防振システム全体の構築は継続中である．防振機構と制御系および測定系は密接に関連するため全体の開発の進捗状況に合わせて進めることが有効であるので，次年度使用がより良いと判断し，結果的に次年度使用額が生じることとなった．次年度以降では，防振システム全体の構築と特性把握を進めるとともに，成果発表のための国際会議参加も進める予定である．
|
Research Products
(1 results)
