2021 Fiscal Year Research-status Report
Structural health monitoring of layered structure by the frequency response functions of layers
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21K03946
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
河村 庄造 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00204777)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 振動工学 / 健全性評価 / 層間周波数応答関数 / 伝達率関数 / モード解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械や構造物の健全性評価は,持続可能社会の実現のために非常に重要な技術課題である.対象物の振動挙動に基づく従来の健全性評価方法としては,対象物の固有振動数の変化に基づく方法が自然である.しかし固有振動数は構造物全体の特性であり,局所的に異常が発生したとしても全ての固有振動数が変化するので,異常の発生場所は特定できない.また異常の程度も,固有振動数などが一致するように構造物全体の特性を変化させて推定する必要がある. 本年度は,階層構造物(高層ビルなど)を対象とし,特定の階層を加振した場合の各層の応答を測定して健全性評価を行う手法を定式化し,数値シミュレーションで検証した.具体的な考え方のポイントは,ある階層の応答を入力と見なすことにより,それより上の階層の特性値だけでFRFが定式化できる,すなわち最上階から定式化していけば,未知数は対象としている階層の特性値のみになることである. 提案した手法を数値シミュレーションで確認するため,具体的な階層構造物を想定し,それぞれの階層に異常が発生した場合の応答を測定して,異常が発生した階層が特定できることを確認したところ,良好な診断結果が得られた.このとき,実際の測定データに含まれるノイズの影響も考慮した. 今後実験による適用性の検証は必要であるが,提案手法は振動工学の基礎的な知識に基づき,かつ非常にシンプルであるので,信頼性が高いと思われる.特に層間周波数応答関数(伝達率関数)のピーク周波数を利用するため,簡易な数学モデルが利用できる.すなわちすべての周波数領域で完全に対象物の特性を再現できる数学モデルでなくても,本手法の考え方は適用できるため,実際の構造物に適用しやすいと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい手法の提案,数値シミュレーションによる検証を完了した.当初の予定通り順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
特定の階層を加振する場合の健全性評価については,実験装置を製作し,実験的に適用性を検証する.実験装置製作の準備を進めている. 常時微振動を利用する場合の健全性評価については,新しい考え方に基づく手法の構築が必要である.具体的には,階層間FRFに全ての階層の特性値が含まれるので,着目する階層のピーク周波数が変化したとき,その階層以外の特性値は正常であると仮定して特性変化を同定する.次の階層も同様に考え,最後に構造物全体で整合がとれるかどうかを評価する手法を構築する.そしてこの考え方を数値シミュレーションで検証する.
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Research Products
(1 results)