2021 Fiscal Year Research-status Report
Development on Soft-Actuators Driven by Negative Pressure and Their Applications
Project/Area Number |
21K03947
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤田 祐一 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 教授 (80273548)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ソフトアクチュエータ / 負圧駆動 / 屈曲型アクチュエータ / 直動型アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,主に次の2項目について研究を実施し以下の結果を得た.①現有モーションキャプチャシステムを用いてソフトアクチュエータの内圧と形状変化について測定データを集め,これに基づき幾何学モデルと数学モデルの確立を目指す研究,②ソフトアクチュエータの内圧と先端部発生力の力学特性を明らかにする研究.
①屈曲型負圧ソフトアクチュエータの静力学モデルを,リンク構造に非線形ばねのモデルを導入し,また変形限界を組み込むことで静力学的数式モデルとして組み立て,つり合いにおける曲げ特性の一致性を数値計算と実験データとの比較により検証した.実際のアクチュエータにおける曲げ限界付近における力学特性は非常に強い非線形性を示しており,その部分において静力学モデルによって計算される数値的特性と実験データに違いが見られるが,曲げ限界に至るまでの動作領域では誤差は小さくないものの良い傾向をモデル出力は示している.動力学的な検討についてはまだ着手できていない.
②屈曲型負圧ソフトアクチュエータに関して,先端部発生力の力学特性を得た手法と同様の手法を用いて,直動型負圧ソフトアクチュエータの内圧と発生力との関係を測定し,その特性曲線を得た.主たる動作領域では線形特性に近い関係性を示すが,内外圧力差が非常に大きい領域では,発生力は大きいもののアクチュエータの構造の対称性に僅かな違いがあることで,形状対称性が崩れてしまうような不正な変形をしてしまうことが明らかとなっている.このことから,現状のアクチュエータの設計構造では理論上の発生力上限よりも低い大きさの力しか出力できないことが分かった.現時点で形状の対称性を崩さないための何らかの工夫が必要であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究テーマでの課題として大きく以下の項目があるが,現時点で順調に進行しているものは①および②である.③の埋め込み型変形センサの開発に関するものが遅れている.⑥の応用研究として,新たな形式のアクチュエータである直動型負圧駆動アクチュエータおよび2方向屈曲型アクチュエータの開発も可能であることがわかり同時に進めている.④,⑤に関してはまだ着手していない.
①現有モーションキャプチャシステムを用いてソフトアクチュエータの内圧と形状変化について測定データを集め,これに基づき幾何学モデルと数学モデルの確立を目指す.②ソフトアクチュエータの内圧と先端部発生力の力学特性を明らかにする.③負圧駆動型ソフトアクチュエータと埋め込み型変形センサとの統合を行い,モーションキャプチャシステムとひずみアンプを用いて,変形量とセンサ出力との関係性を明らかにする.④前述の結果に基づいて力制御系を設計し,触覚センシングに基づく力制御系の確立を目指す.⑤制御器を機械学習による制御器に置き換え,アクチュエータの非線形性に応じた制御系の構築を模索する.⑥応用研究を進める.
埋め込み型曲げセンサの実験環境の準備を行い,予備的な実験を行う予定であったが,直動型負圧アクチュエータの特性実験が優先してしまい,遅れている.そのため,令和3年度に導入予定であったひずみアンプと実験用PCはまだ導入していない.ひずみアンプに関しては,実験装置の構造検討により,ひずみゲージに対応したものよりも計装アンプ型の方が適しているのではないかと検討をし直している.
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Strategy for Future Research Activity |
前項目で上げた研究事項に関して,①,②は引き続き研究を進め,製作した直動型および屈曲型負圧駆動アクチュエータが示す力学特性と同様の出力を示すよう静力学モデルの精度向上を目指す.また,③の埋め込み型センサの開発もさらに進めていく予定である.遅れが出ている埋め込みセンサの実験装置の完成を早期に目指す.そのため,昨年度に導入を予定していたひずみアンプを計装アンプに変更して実験装置の設計をやり直す.計画当初,導電性ゴムを使用した曲げセンサの電気的特性が,ひずみゲージよりも高い抵抗値を持つことが明らかとなり,市販のひずみアンプでは対応できないことが分かった.このためひずみアンプを線形の計装アンプに変更し,今年度に導入する.また,これに伴い昨年度導入予定であった実験用PCも今年度に導入する.一方,現在開発中の直動型負圧駆動アクチュエータが人工筋肉として利用できると思われるのでその実証研究としてこれを人工筋肉として使用したアームの開発も応用研究の一つとして進めていく.
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Causes of Carryover |
埋め込み型曲げセンサの実験環境の準備を行い,予備的な実験を行う予定であったが,直動型負圧アクチュエータの特性実験が優先してしまい,遅れている.そのため,令和3年度に導入予定であったひずみアンプと実験用PCはまだ導入していない.ひずみアンプに関しては,実験装置の構造検討により,ひずみゲージに対応したものよりも計装アンプ型の方が適しているのではないかと検討をし直している.
新型コロナ感染状況が好転することを予想して旅費も計上していたが,残念ながら感染状況は深刻なままであり,国際会議等もオンラインでの開催が主となってしまった.また,大学の方針として海外出張はできない状態であり,実質的な執行は行っていない.次年度の学会開催がどれだけ対面となるか分からないが,次年度に執行できるものと考えている.
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