2021 Fiscal Year Research-status Report
MEME chemical sensor for continuous measurement of density change
Project/Area Number |
21K03950
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
野田 堅太郎 富山県立大学, 工学部, 講師 (00547482)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 味覚センサ / MEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、当初予定を変更し、イオン結合による膜の接着法の確立と、この方法を用いてパターニングした膜材料の SPR 特性の評価並びに膜とデバイスとの間の接着性の評価を行った。当初、デバイス上に成膜したイオン交換膜に外部より電場を加え、吸着したイオンの脱離をおこなうシステムを実現することを目的としていたものの、外部電場による水の電気分解により、膜の脱離が生じ、十分な脱離をおこなうことが困難であった。そこで膜の吸着性を維持することが可能な電気分解特性を求めるために、イオン結合法によってデバイス上に密着させた膜の吸着力を計測・評価するとともに、 SPR 特性の変化を計測・評価することを優先した。ここでいうイオン結合法は、デバイス表面にアミノ基を有する単分子膜を形成し、イオン交換膜との間に弱いイオン結合を形成することで、デバイスとイオン交換膜との間の密着性を向上し、フォトパターニングなどの MEMS 加工を可能とするための成膜法である。SAICAS 法を用いてアミノ基を有する単分子膜膜状に形成したイオン交換膜の密着力を計測したところ 0.08 kN/m の密着性を有しており、これは一般的な1-ドデカンオールなどの無極性の単分子膜上にイオン交換膜を形成した場合よりも 1.3 倍程度密着性が向上することが確認できた。この結果を元に、次年度以後、水の電気分解によって生じるはく離力を計測・評価し、脱離を起こすことがない、最適な外部電場の条件を求め、イオンの流入出の制御につなげることを想定している。また、イオン結合法を用いてイオン交換膜を SPR デバイスに形成した際の SPR 特性について計測し、密着性の向上によって膜の性質が安定、 SPR 計測感度の偏差を減少できることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、MEMSデバイスへの膜のとりつけ、ならびに外部電場によるイオンの吸脱着システムのセンサへの取り付けを行うことを想定していたものの、外部電場による水の電気分解作用により、膜の脱離が激しく、膜の密着性の評価、また電気分解によって生じるはく離力の計測・評価を優先して行うことが重要であることがわかった。このため、当初想定していたプランを変更し、これら膜の接着・脱離に関する力の計測・評価、外部電場の最適化を優先課題として取り組むこととした。このため、当初目標からはやや遅れが生じている。しかし、この膜接着力の評価およいそれに付随した SPR 特性の評価によって新たな知見が得られたため、今後、当初計画通りのデバイス設計に進むことができるものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度予定として、水の電気分解による膜のはく離力の大きさを計測・評価し、今年度計測することができたアミノ基へのイオン交換膜の接着力の情報と比較することで、膜剥離を起こすことがない最適な外部電場の大きさ・印加方法を確立する。この条件を元に、イオンの流入出を制御するためのマイクロデバイスを実現することを目標とする。またパターニングを施したイオン交換膜のイオン吸着特性、SPR励起特性を計測・評価することで、化学物質の常時計測を実現する味覚センサの設計・評価につなげる。
|
Causes of Carryover |
当初計画を変更し、デバイスの変更ではなく、膜の密着性の計測・評価を優先する必要が出てきたため、消耗品の今年度購入額が減少した。今年度成果を元に来年度以後、本格的にデバイスの設計試作を進められることとなったため、当初予定していた物品の購入を進めることを予定している。
|