2022 Fiscal Year Research-status Report
MEME chemical sensor for continuous measurement of density change
Project/Area Number |
21K03950
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
野田 堅太郎 富山県立大学, 工学部, 講師 (00547482)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | MEMS / SPRセンサ / 電気再生法 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の成果を元に今年度は、SPRデバイス上に形成したナフィオン膜に対して電気再生法を施し、ナフィオン膜が吸着した陽イオンを洗浄液を利用することなく電気的に除外する方法に関して検証した。本研究では、味覚物質である塩化ナトリウムを溶解した水溶液に対して電解を印加し、陽電極周辺に発生させた陰イオンをナフィオン膜と反応させることでナフィオン膜に吸着した陽イオンを除外し、電気再生を施した。本実験では、ガラス基板上に形成した金/Cr薄膜上にアミノ基を有するSAM 膜を形成し、その上にナフィオン膜製膜した SPR デバイスを準備した。このデバイスを20wt%、20mlの塩化ナトリウム水溶液中に10分間浸漬することで、ナフィオン膜中にナトリウムイオンを飽和した状態とした。親戚を行う前の塩化ナトリウム水溶液は pH 5.0 であったものが、ナフィオン膜に陽イオンのみが吸着されることで pH 3.5 まで減少した。その後、別の塩化ナトリウム水溶液にデバイスを浸漬しても pH が変化しなかったことから、 10 分間の浸漬によってナフィオン内にナトリウムイオンが飽和したことが確認できた。その後、20wt%塩化ナトリウム水溶液に浸漬した白金電極に 5.0V の電圧を印加し、その陽電極側にSPRデバイスを 2 分間浸漬することでナフィオン膜の電気再生を施した。電気再生を施した後の SPR デバイスを再度20wt%塩化ナトリウムに水溶液に浸漬したところ、pHが5.0から3.6に減少することを確認した。このことからSPRデバイス上に形成したナフィオン膜が電気再生する条件と構成が確立された。また電気再生を行う際の電極間に陽イオン交換膜を配置し、分解後の陽イオンと陰イオンとの再結合を防ぐことで電気再生の効率を向上できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定通り、 SPR デバイスに成膜したナフィオン膜に対して外部電極として白金電極を配置し、周囲の試液を電気分解することで、ナフィオン膜中の陽イオンを電気的に除外・再生する電気再生法を施すデバイスを確立することに成功した。一方で、電気再生を施す際に生じる合成物によって電極が汚染され、想定外に電極にダメージを与えることを確認した。このため、SPRデバイスに対して電気再生を施しながら計測を行うためには、電極材料を最適化し、電気分解中に発生する薬剤の影響を受けない電極を実現する必要があることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
前述した通り、ナフィオン周囲に電極を配置し、ナフィオン膜周辺の溶媒を電気分解し、そのイオンを利用することでナフィオンを電気的に再生することに成功した。一方で、当初想定していなかったが、電気再生中に発生するガスや酸などによってナフィオンや電極が侵され破損することを発見した。このため、 SPR センサに電気再生のための構造を実装するとともに、SPR計測と電気再生とを同時に行えるようにするため、今年度は電極の材料並びにナフィオンの塗布方法を再度見直し、電気分解によって生じる薬剤の影響を受けない電極の実装・ナフィオンをより強固に電極と接合する方法を確立し、化学物質の常時計測を実現する味 覚センサの設計・評価につなげる。
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Causes of Carryover |
当初予定通り、電気分解によるナフィオン膜の再生を行うことに成功したものの、電気分解・再生時に想定以上の副反応が発生し、電極を破損することが新たに判明した。この点の解明と対策を行うため、当初予定していた予算の利用計画とは異なる物品の購入や研究作業のための学生アルバイトの雇用を行った。この結果当初予算とは予算執行予定が変化し、使用額が計画から変化した。来年度、この点を解決するための作業を追加で行う際に今年度の残分を活用し、早急に対応を進めることを予定している。
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