2021 Fiscal Year Research-status Report
機械力学的視点で連続体を伝播する波動に着目した振動・騒音制御
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21K03956
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山田 啓介 関西大学, システム理工学部, 准教授 (80456798)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 波動 / 能動制御 / 騒音制御 / 進行波 |
Outline of Annual Research Achievements |
一方向進行波生成による騒音制御手法の確立 一次元音響管内を伝播する音波を制御音で相殺し,開口端から外部に放射される騒音を低減する方法としてよく知られている能動騒音制御では参照マイク,誤差マイク,制御器,制御用スピーカが用いられるが,本研究では誤差マイクは使用せずに,参照マイクと制御用スピーカを二つ使用することで音波を相殺する方法の研究を行っている.本手法では,騒音の上流側に設置された参照マイクで得た音圧信号にむだ時間を与えて二つの制御用スピーカーで制御音を発生させるが,その際に二つの制御用スピーカーの制御音に時間差を与えて,二つを合わせた後退波が完全に相殺されるようにする.いっぽう,前進波は特定の周波数を除いてはゼロにはならないので,この前進波を騒音の音波と同振幅,逆位相にすることで騒音を相殺する.騒音が完全に相殺される周波数においては参照マイクで制御音等が再検出されることはないが,騒音が完全には相殺されない周波数では,開口端で反射された音波が再検出される問題がある.この再検出によってハウリングが生じて,系が不安定になる可能性がある.研究課題としては,騒音が十分に相殺される周波数領域の広帯域化と,開口端での反射による系の不安定化の回避の二つがあり,2021年度は特に前者に取組んだ.具体的には,二次のノッチフィルタを用いることで広帯域化が行えることをシミュレーションと実験を通して実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は研究計画に入っていなかった新しい方法も研究計画に追加し,並行して複数の研究課題を推進している状況であり,研究全体としては予定よりも濃い内容になりつつあるが,コロナ禍等の影響で学外での成果発表は十分には行えていない状況のため,全体としてはおおむね順調に進展していると判断した. なお,2021年度に学外で研究成果を発表出来た内容は,一方向進行波生成による騒音制御手法の確立,の広帯域化に関する分である.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は大学院生2名,学部生1名と研究代表者の4名で複数の研究課題を並行して推進する予定である.2022年度もコロナ禍により学会の開催が見通せない状況にあるが,それに加えて,研究代表者は学内の学術研究員の制度を利用して,海外で1年間研究を行うことを予定している状況であり,学外での研究成果の発表を計画しにくい状況である.コロナ禍により,学術研究員の期間を何度も延期している状況であり,現時点では2022年の9月から1年間海外で研究を行う計画である.このような状況であるので,研究代表者は学会等での講演申込は見合わせて,院生と学部生については成果が発表できる状態になった時点で参加申し込みをさせる予定である.研究代表者は学外での発表は見合わせるが,その代わりに完成に近い研究をまとめて,査読付き論文集に投稿することを優先する計画である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,学会等での研究成果の発表数が当初の計画よりも少なかったことと,いずれの発表会もオンライン形式となり,参加登録費が安価になり,旅費が必要無くなったことが主な原因である.残額は本研究の実験に関わる消耗品等の購入と,2022年度の学会や論文の投稿に関わる費用に充てる計画である.
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