2021 Fiscal Year Research-status Report
道路走行映像の自由視点再現技術を活用した自動運転における運転者の挙動分析
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21K03962
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
小野 晋太郎 福岡大学, 工学部, 准教授 (80526799)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ドライブレコーダ / 車間距離推定 / 車両運動 / 自動運転 / ドライビングシミュレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
R3年度においては、車載カメラにより撮影した道路走行映像を用いて、(1)他車両および(2)自車両の走行状況を把握する技術の開発に取り組んだ。 (1) ドライブレコーダを想定した単眼の車載カメラ映像から深層学習技術により推定したシーン全体の深度情報を用いたビジュアルオドメトリ手法を通じて、シーン内に観測されている他車両(先行車両、他車線の先行車両)の3次元空間中での位置・姿勢を推定する手法を開発・実行した。具体的には、シーン全体の深度情報と、他車両の外形矩形(バウンディングボックス)および2次元特徴点を推定・抽出し、それらの整合が取れる点をクラスタリング・追跡することで、自車両・他車両の3次元位置・姿勢を計算することができるものである。評価の結果、既存の単眼ビジュアルオドメトリ手法よりも位置・姿勢ともに高い精度で推定できることが確認された。 (2) ドライブレコーダの走行ログ情報(緯度経度、走行速度、年月日、時刻、曜日、進行方向、運転時間など。加速度は除く)に加えて、(1)の手法に基づいて推定した他車両までの車間距離を用いて、自車両の急ブレーキの発生を検出する手法を試行した。過去の研究において、走行ログ情報や気象情報、ドラレコ映像から推定した天候などから急ブレーキを検出・予測する研究は存在したが、より直接的な情報である車間距離を用いれば検出性能が向上するとの観点に基づくものである。検出には決定木を用いたデータマイニング手法を用いた。比較評価の結果、ドラレコ映像から推定した車間距離情報を用いることにより、用いない場合に比べて検出性能が向上することが確認された。現時点では後処理による急ブレーキの発生検出にとどまっているが、今後は発生予測にも適用できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題の採択と同時に研究代表者が研究機関(大学)を異動し、研究協力者の確保が困難になったことや情報管理上の制約により、計画に若干の遅れが生じている。
実施計画のうち、自動運転シャトルバスに設置したカメラによる車両周辺環境の映像取得については予定通り実施した。また、走行現況をVRによる運転映像として再現する仕組みの構築は、限定的な動作確認のみ実施した。ドライバの運転挙動データについては、所属変更に伴う情報管理上の制約により、予定通りの取得はできていない。
一方において、研究協力者(予定)が見込まれ、計算機上での検討が主となる自車・他車の挙動把握については、予定よりも先行して実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度に予定通り取得することができなかった自動運転シャトルバスのドライバの運転挙動(自動運転から手動運転への切替、テイクオーバー)のデータについては、用途の限定や非公開などを条件とすることを含めて、異動前の研究機関または車両開発者・運行事業者と調整を図る。一方において、現在の研究機関でも新たに自動運転車両の導入・走行試験の計画がある。本研究では特定の経路やシーンに特化した挙動分析を目的としている訳ではないため、進捗状況によっては、そちらで同様のデータを取得する。 これらが不調となった場合は、実際のテイクオーバーを自動的に記録することにこだわらず、運転者を目視で観測して手動で記録したり(データ数が減少することを許容)、仮想環境上で記録を取る(現実に発生した事象でないことを許容)などの方針により、柔軟に対応する。 走行現況をVRによる運転映像として再現する仕組みについては、深層学習技術を利用して離散的な視点の画像から任意視点の画像を再現する技術が近年になって急速に発展しているため、それを取り入れることも考慮する。
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Causes of Carryover |
本課題の採択と同時に研究代表者が研究機関を異動したため、複数の理由により次年度使用額が生じた。(1)教育業務や学務が増大した (2)初年度のため配属学生が存在しなかった (3)前研究機関内部のデータ利用に制約が生じた (4)当面必要な物品については現研究機関内で調達することができた。 R4年度以降は、前研究機関との調整、現研究機関における自動運転計画との連携、研究協力者の追加検討、民間共同研究、配属学生への課題設定などにより体制を整え、予定通りの実施を目指す。
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